慰謝料の具体的ケース
後遺障害を負った子供の慰謝料は?
このページでは、「子供が後遺障害を負った場合の慰謝料の考え方、具体例、増額理由」について徹底調査した結果を報告しています。
子供の後遺障害慰謝料と相場との関係は!?
子供が交通事故で後遺障害を負った場合、大人の場合と比べると、後遺障害の期間が長期にわたり、それだけ精神的苦痛も大きくなるはずだ。
しかし、裁判実務で採用されている後遺障害等級に対応する慰謝料相場は、被害者の年齢を考慮に入れていない。実際の裁判でも、子供という理由だけで慰謝料を増額してもらえる例は少ないようだ。
とはいうものの、今後60年間にわたり後遺障害を背負って生活する子供と、今後10年間だけ後遺障害と付き合えばいい高齢者を比べると、期間だけの単純計算で6倍の格差がある。これを慰謝料に反映しないのは、あまりに不合理といえるだろう。
そこで、東京三弁護士会の慰謝料部会は、20歳未満の被害者の後遺障害慰謝料を30%増額する提案をしている。かつて東京地裁が公表した基準でも、20%の増額が提案されている。
現在の裁判実務は、年齢の慰謝料への反映があまりに不十分である。後遺障害を負った子供を持つ両親としては、子供であることを慰謝料額に反映して、通常より増額した慰謝料を請求することも検討してみるべきだろう。
(まとめ表)
増額の理由 | 若年者は、後遺障害の期間が長く、精神的苦痛は大きい。 |
対象となる後遺障害 | 労働能力喪失期間に制限がない後遺障害。 |
増額の割合 | 20歳未満の子供は相場より20~30%の増額の可能性? |
子供の両親は固有の慰謝料を請求できるの!?
子供に重度の後遺障害が残った場合には、両親は子供の成長の楽しみを奪われてしまうことになり、精神的苦痛も大きい。
裁判例では、1級~5級までの後遺障害が残った子供の両親について、固有の慰謝料が認められる傾向にあるようだ。
両親の固有の慰謝料の金額は、以下の裁判例一覧表にあるように、後遺障害等級に応じて50万円~800万円まで開きがあるようだ。
子供の後遺障害について、現在の裁判実務では、年齢を重視して慰謝料を増額する対応がされることは少ない。
そのため、被害者の現実的な戦略としては、両親や子供の兄弟などを原告に加えることで、近親者慰謝料をできる限り認めてもらう方針が有効といえるだろう。
(まとめ表)
(単位:万円)
子供の将来への不利益が、後遺障害慰謝料を決める!?
子供の後遺障害慰謝料の増額理由は、子供の年齢だけではない。裁判官に、子供の年齢に起因する長期間の苦痛を慰謝料額に反映してもらえなくても、その他の具体的事情を主張立証することで、慰謝料を増額してもらえる余地は残されている。
まず、子供に後遺障害が残ることによって、将来選択できたはずの職業につけないことや、思い描いていた夢を実現できないことなどがあり得る。
また、子供が後遺障害のために学校を休学・留年したり、受験に悪影響が出るなど、学業への影響も無視できないだろう。
子供の顔に傷跡などが残ると、将来の結婚に悪影響が及ぶことも十分考えられる。生殖器の障害がある場合には、子供をもうけて育てる楽しみが事故によって奪われてしまうことにもなる。
その他、日常生活上の食事・風呂・着替えなどの動作に不便が生じると、毎日の生活であるだけに精神的苦痛も大きくなるはずだ。
子供が後遺障害を負った場合には、交通事故に強い弁護士に裁判を依頼し、年齢だけでなく、職業・学業・結婚・日常生活にわたるあらゆる不利益を具体的に主張立証してもらうことで、相場を超える慰謝料を獲得できる可能性が高まるのだ。
(まとめ表)
不利益の類型 |
不利益の例 |
就職・職業選択に対する不利益 |
・選択できる職種が狭まる ・将来の夢が閉ざされる |
学業に対する不利益 |
・休学・留年による学業の遅れ ・受験への悪影響により希望する学校へ入学できない |
将来の結婚に対する不利益 |
・結婚することが難しくなる ・意中の相手と結婚できなくなる |
生殖能力に対する不利益 | ・子供をもうけることができなくなる |
味覚・嗅覚その他の日常動作など日常生活上の不利益 |
・食べ物をおいしく食べられない ・歯磨き、風呂、着替えなどの日常動作ができない |
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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