脊柱・体幹骨の後遺障害ガイド
椎間板ヘルニアの後遺障害慰謝料ガイド
このページでは、弁護士が「椎間板ヘルニアの後遺障害慰謝料」について解説しています。
交通事故により椎間板ヘルニアを発症してしまった方へ。椎間板ヘルニアになってしまうと、立ち上がったり歩いたりするだけで腰に強い痛みが生じ、日常生活での負担がとても大きいですよね。ご高齢の場合、寝たきりになってしまうこともあるといいます。
このページでは、交通事故により椎間板ヘルニアになってしまった方に向けて、椎間板ヘルニアの基本的知識や慰謝料の相場等についてご紹介いたします。
交通事故の外傷による椎間板ヘルニア
そもそも椎間板って何のこと?
椎間板とは、人間の背骨(医学的には「脊柱」といいます)部分にある軟骨のことです。脊柱は、26個の「脊椎」と呼ばれる骨で形成されていますが、椎間板は、その脊椎と脊椎の間で、クッションのような役割をしています。
椎間板ヘルニアにより痛みが生じるメカニズム
作者 userUser:Tonbi_ko (userUser:Tonbi_ko) [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], ウィキメディア・コモンズ経由で
この椎間板が、本来あるべき脊椎間から飛び出した(変形した)状態が、「椎間板ヘルニア」です。「ヘルニア」には、医学用語で「体内の臓器などが、本来あるべき部位から脱出・突出した状態」という意味があります。
脊柱には、脳からの指令を体の各部分に送るための神経が多く通っており、飛び出した椎間板がこの神経を圧迫することで、痛みや痺れ等の椎間板ヘルニアの症状が生じます。
椎間板ヘルニアの診断方法
椎間板ヘルニアかどうかを検査するためには、問診や画像による検査(MRI等)の他、触診により筋力や神経の状態等を検査します。
椎間板ヘルニアは、発症している椎間板の位置や圧迫している神経の種類等により症状が異なるため、問診、視診及び触診の結果を総合的に考慮して診断する必要があります。
椎間板ヘルニアの治療方法
椎間板ヘルニアを発症してしまった場合、治療方法としては、保存療法と手術療法があります。もっとも、保存療法を行えば治癒していくケースも多い(約80%は保存療法により治癒すると言われています)ため、基本的には保存療法を試みます。
一方、症状が重い場合や症状が長く続く場合には、手術を行う可能性もあります。
(椎間板ヘルニアの治療方法まとめ)
治療方法の分類 | 具体的な治療方法 |
保存療法 | ・薬物療法 ・神経ブロック療法(患部への局部麻酔) ・運動療法(筋力トレーニング等) ・装具療法(コルセット等) ・物理療法(マッサージ等) |
手術療法 | ヘルニア部分の切除術 等 |
椎間板ヘルニアの後遺障害の基本
椎間板ヘルニアの後遺障害が認められる条件
交通事故による後遺障害として椎間板ヘルニアの症状が認められるためには、椎間板ヘルニアが交通事故により生じたことおよび椎間板ヘルニアの症状が現在まで残っていることを証明する必要があります。そのため、事故前から椎間板ヘルニアがあった場合、後遺障害として椎間板ヘルニアの症状を認めてもらうことは困難です。
椎間板ヘルニアはどの等級がつくの?
椎間板ヘルニアの症状にも後遺障害等級がつくことがあります。ただし、椎間板ヘルニアそのものについての等級はないため、椎間板ヘルニアによる具体的な症状について、後遺障害等級の認定がなされる形になります。
椎間板ヘルニアについての後遺障害等級としては、12級13号もしくは14級9号が認定されることが一般的です。もっとも、ヘルニアにより脊髄の神経を損傷した場合等、ヘルニアによる足の麻痺や歩行困難が生じている重篤なケース等には、9級10号の後遺障害等級が認定される場合もあります。
(椎間板ヘルニアの後遺障害等級認定基準)
等級 | 号数 | 後遺障害の程度 |
9級 | 10号 | 片方の足に軽度の麻痺があり、就労可能な職種の範囲が相当程度限定されるもの |
12級 | 13号 | 医学的に証明しうる神経系統の機能の障害を残すもの |
14級 | 9号 | 医学的に説明可能な神経系統の機能の障害を残すもの |
後遺障害の審査のポイント
椎間板ヘルニアの後遺障害においては、12級か14級の後遺障害等級の認定がなされることが一般的です。そのため、審査においては、その症状が「医学的に証明できるか」(12級にあたるか)が重要なポイントとなります。そして、医学的な証明が認められるかは、MRI画像等にヘルニアの症状が認められるかによるところが大きいため、事前にMRI等の撮影をしておくことが重要となります。
椎間板ヘルニアの判例における慰謝料相場は?
(まとめ表)
判例年月日 | 後遺障害の内容 | 後遺障害の等級 | 後遺障害慰謝料 |
大坂地判 平成13.12.25 |
椎間板ヘルニア | 12級 | 260万円 |
大坂地判 平成15.5.23 |
椎間板ヘルニアその他 | 併合5級 | 980万円 |
大坂地裁 平成21.9.29 |
椎間板ヘルニア | 14級 | 110万円 |
徳島地判 平成24.2.1 |
椎間板ヘルニア | 14級 | 110万円 |
東京地判 平成26.4.23 |
椎間板ヘルニアその他 | 併合11級 | 420万円 |
横浜地判 平成26.7.17 |
椎間板ヘルニア | 12級 | 290万円 |
この表からわかるとおり、椎間板ヘルニアの症状のみが後遺障害となった場合、慰謝料の相場は100万円から300万円程度となります。そして、高額な慰謝料の獲得のためには、12級の認定を受けることが重要となります。
また、ほかにも椎間板ヘルニアのほかにも後遺障害がある場合、それらと併合されてより高い慰謝料を獲得できる場合もあります。
椎間板ヘルニアの後遺障害が残ってしまった場合、適切な慰謝料を獲得するためには、裁判において必要十分な主張や証明をすることが必要不可欠です。そして、その主張や証明をするためには、交通事故に詳しい弁護士に依頼をすることが特に重要となってきます。
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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