重度の後遺障害等級
後遺障害等級3級の慰謝料は?
このページでは、「交通事故による後遺障害3級の慰謝料の相場と具体例」について徹底調査した結果を報告しています。
後遺障害3級の慰謝料の相場は!?
後遺障害3級とは
3級の後遺障害は大きく2つに分けることができる。神経・精神・臓器の障害のため労働が不可能になる障害と、その他の障害だ。以下の3級の一覧表でいうと、前者は3号と4号に当たり、後者は1,2,5号に当たる。
3級の後遺障害には、詳細な認定基準が存在する。「自分や家族の障害が3級に該当するのかどうか知りたい」という場合には、後遺障害等級3級の慰謝料(具体例)に詳しい認定基準をまとめているので、確認してみると役立つだろう。
以下の表に該当する障害がなくても、たとえば4級と12級の後遺障害が残った場合には、合わせ技で併合3級の認定を受けることができることも覚えておくといいだろう。
後遺障害3級 |
1 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 2 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 5 両手の手指の全部を失ったもの |
後遺障害3級の慰謝料の相場
3級の後遺障害認定を受けることができれば、3級の慰謝料相場(1990万円)の適用を受けることになる。
加害者が任意保険に未加入の場合には、被害者は自賠責保険から後遺症の慰謝料の支払いを受けることができる。この場合の保険金額は、829万円を基本とし、被害者が扶養家族を持つ場合は973万円になる。
被害者が弁護士を通さずに自力で保険会社と交渉した場合には、相場を大幅に下回る1000万円または1300万円の慰謝料の提示を受けることになる。
被害者が慰謝料の相場に無知であれば、早期にまとまった賠償金を受け取れることから安易にこのような低い基準で示談してしまうおそれがある。
いったん示談してしまうと示談を取り消すことはできないので、弁護士を通さずに保険会社と示談することだけは絶対に避けるように注意が必要だ。
(まとめ表)
3級の後遺障害慰謝料 |
|
自賠責保険 | 829万円(被扶養者がいるときは973万円) |
任意保険からの提示額 | 1000万円(父母、配偶者、子のいずれかがいる場合は1300万円) |
慰謝料相場 | 1990万円 |
3級の慰謝料の具体例と相場の関係は!?
3級の慰謝料相場の1990万円は、実際の裁判では通用するのだろうか?3級の慰謝料について、過去10年間の裁判例の傾向を調査してみた。
調査した裁判例の全10件のうち4件が、被害者本人について相場通り1990万円の慰謝料を認めていた。その他は、1800万円~2200万円まで比較的大きな差がみられた。
3級の後遺障害の場合、家族の日常生活への負担も大きい。そのため、本人だけでなく家族固有の慰謝料も認めてもらえるそうだ。
裁判例のうち、家族固有の慰謝料を請求したものは10件中5件にとどまる。家族の慰謝料額は、100万円~400万円の幅があった。被害者本人と家族の慰謝料の合計額は1900万円~2300万円であった。
これらの裁判例から分かる傾向としては、各裁判例によって慰謝料額に大きなばらつきがあるということだ。もちろん事案ごとの違いにも原因はあるが、裁判官ごとの感覚の違いや弁護士の慰謝料請求へのスタンスも大きく影響しているだろう。
慰謝料額が決まる過程では、どのような事情でも制限なく考慮してもらうことができる。被害者としては、いかに裁判官に対して後遺障害による日常生活での不利益の実情を伝え、被害者の精神的苦痛を共有してもらえるかを重視すべきだ。
(まとめ表)
(単位:万円)
被害者は3級の慰謝料をどれくらい請求すべきなの!?
3級の後遺障害が残った被害者は相場通りの慰謝料額を請求すれば済むわけではない。とくに裁判においては、事案に応じて相場を越える慰謝料額を請求すべき場合が少なくない。
相場通りの慰謝料しか請求しなければ、裁判官からそれを越える慰謝料を認めてもらえるケースはほとんどないからだ。
一つの事件を担当する裁判官は、他の裁判官がどの程度の慰謝料を認めているのかとても気にしている。相場を越える慰謝料を認める判決が、他の裁判官から異常とみられないか不安なのだ。
被害者や弁護士が、慰謝料を増額すべき具体的な事情をできる限り説得的に伝えた上で、相場以上の慰謝料額を請求することが大切だ。そうすれば裁判官も躊躇なく相場にとらわれない判断を行うことができる。
たとえば、一家の支柱である父親が3級の後遺障害を負ってしまい働けなくなると、家族は扶養を失うことによる精神的苦痛が大きい。父親にとっても、支えるべき家族がいるなかで重度後遺症を背負って生きていくことは大変な心理的負担になるだろう。
そこで、被害者が一家の支柱の場合には、慰謝料相場より20%増額し、裁判では2388万円の慰謝料を請求することが考えられる。
被害者が主婦の場合にも、家庭内で果たす役割の大きさから、相場より10%増額して請求することを検討すべきだろう。
慰謝料を左右するのは家庭内での役割だけではなく、被害者の年齢も大切な要素だ。とくに、20歳以下の被害者は今後何十年にもわたって3級の後遺障害を背負い続けなければならない。
若者が被害者の場合には、高齢者に比べて精神的苦痛の度合いは大きいといえるだろう。そこで、20歳以下の被害者の場合には相場より20%増額して慰謝料を請求することも検討に値する。
普通の弁護士が漫然と裁判を起こすと、この点に気付かずにマニュアル通りに相場水準の慰謝料を請求するだけになってしまう。この場合、相場以下の慰謝料しか認めてもらえないことがほとんどだ。
しかし、慰謝料に精通した弁護士であれば、請求額を増額した上で、事案に即した増額理由を具体的に主張立証してもらえるのだ。これにより、被害者は3級の慰謝料相場を越える金額を払ってもらえる可能性が高まるのだ。
(まとめ表)
慰謝料額 |
決定基準 |
|
慰謝料相場 |
1990万円 |
相場 |
一家の支柱 |
2388万円 |
20%増額 |
母親・配偶者 |
2189万円 |
10%増額 |
1歳~20歳前後 |
2388万円 |
20%増額 |
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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