脊柱・体幹骨の後遺障害ガイド

脊柱の後遺障害慰謝料ガイド

このページでは、弁護士が「脊柱の後遺障害慰謝料」について解説しています。

交通事故で脊柱に障害を負ってしまった方へ。頸椎や腰椎は体全体を支え、中枢神経を保護する役割があるだけに、後遺障害が残ると、日常生活の様々な場面で重大な支障が出てしまうことと思います。

場合によっては、痛みや麻痺で歩けなくなってしまった方もいるようです。

このページでは、主に脊柱(頸椎・胸椎・腰椎)に後遺障害を負ってしまった方に向けて、脊柱周辺の後遺障害の種類や、後遺障害が残ってしまった場合の慰謝料の相場等の情報をご紹介いたします。

交通事故による脊柱・脊椎の外傷の基礎知識

交通事故による脊柱・脊椎の外傷には、どのような種類があるのでしょうか。

一番多いのはやはり骨折です。ほかには、脱臼などがあります。また、脊柱・脊椎を損傷することにより、その中を通っている神経である脊髄を損傷することもあります。

そうなんですね。背骨を骨折なんて、何をするのも痛そうですね…。

脊柱の仕組み

脊柱

Henry Vandyke Carter [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

まずは、脊柱の仕組みからご紹介いたします。

脊柱とは、いわゆる背骨のことで、頭蓋骨から臀部までを貫く1本の骨のことをいいます。脊柱は、脊椎椎骨ともいいます)と呼ばれる骨が繋がってできており、合計26個の脊椎からなります。

そして、脊椎は、その場所ごとに、上から頚椎(首付近の脊椎、合計7個)、胸椎(胸付近の脊椎、合計12個)、腰椎(腰付近の脊椎、合計5個)、仙骨尾骨(両方とも臀部にある脊椎、それぞれ1個)と呼ばれています。

このページでは、主に頚椎から腰椎までの脊柱の障害について説明します。

脊柱の圧迫骨折

交通事故による脊柱の骨折でもっとも多く認められるのは、脊椎の圧迫骨折と呼ばれるものです。

「脊椎の圧迫骨折とは、衝撃により、他の脊椎に押しつぶされるように骨折してしまうものを言います。通常、脊椎の圧迫骨折は、骨粗鬆症により骨がもろくなった高齢者に多く発症しますが、交通事故においては、骨粗鬆症になっていない場合でも発症することがあります。

脊柱の脱臼

交通事故により、脊柱を構成する脊椎の一部が脊柱からずれてしまうことがあります。

これが、脊柱の脱臼の状態です。この脱臼状態が生じてしまった場合、大抵は脊髄の損傷も生じ、身体の麻痺等の深刻な症状をもたらします。

なお、このページでは、あくまで脊柱や脊椎の損傷のご紹介にとどめ、脊髄損傷については、脊髄損傷の後遺障害慰謝料の基礎知識のページにて詳しくご紹介いたします。

(まとめ表)

脊柱の外傷の種類 具体的な症状
脊椎の圧迫骨折 ・安静時の痛みは少ないが、起き上がる、歩く等の動作時に激しい痛み
身長が縮む
バランスを崩し、まっすぐ歩けなくなる場合もある
脊椎の脱臼 ・脱臼部分の強い痛み
・脊髄の損傷に伴う諸症状(手足の神経障害、運動障害等)

脊柱の後遺障害にはどんな種類があるの?

脊柱の後遺障害には、どのようなものがあるのでしょうか。

大きく分けて、脊柱が変形してしまう変形障害と、脊柱を動かすことに障害が生じる運動障害があります。

大きく分けて2つあるんですね。どの程度の症状でどの程度の後遺障害認定がされるのか、詳しく教えてください。

脊柱の後遺障害の悩み

脊柱に後遺障害が残ると、生活の様々な場面で支障が生じます。

まず、変形障害が残ってしまった場合には、正常なバランスを保つことが困難になり、まっすぐ立っていることやまっすぐ歩くことが辛いといった症状が生じます。

また、運動障害が残ってしまった場合には、首を曲げることができない、腰をひねることが出来ないなど、日常生活で何気なく行っている行為が困難になります。

このように、背骨が人体の構造上、バランスや運動において極めて重要な役割を果たしていることから、脊柱の後遺障害は、相当に辛い症状を伴います。

脊柱の変形障害

脊柱の変形障害については、その変形の程度により、認定される後遺障害等級が異なります。具体的には、以下の表のとおりになります。

(脊柱の変形障害の後遺障害等級認定基準)

等級 号数 変形の程度
第6級 5号 脊柱に著しい変形を残すもの
第8級 相当 脊柱に中程度の変形を残すもの
第11級 7号 脊柱に変形を残すもの

そして、「著しい変形」や「中程度の変形」にあたるか否かは、後彎(こうわん、後方に骨が突出すること)の有無や、コブ法と呼ばれる検査方法による、側彎(そくわん、左右への傾き)の角度等により判断されます。

脊柱に圧迫骨折や脱臼の跡が残るだけにとどまる場合には11級の後遺障害が認定されます。

一部の専門家の間では25%以上の圧壊を伴う圧迫骨折でなければ11級に認定されないという経験則が広まっていますが、公表されている認定基準にはそのような要件は明記されていません。

脊柱の運動障害

脊柱の運動障害については、その運動障害の程度により認定される後遺障害等級が異なります。具体的には、以下の表のとおりになります。

(脊柱の運動障害の後遺障害等級認定基準)

等級 号数 運動制限の程度
第6級 5号 脊柱に著しい運動障害を残すもの
第8級 2号 脊柱に運動障害を残すもの

そして、「著しい運動障害」や「運動障害」にあたるか否かは、脊椎圧迫骨折の有無や、脊椎固定術の有無、明らかな器質的変化の有無と、その可動域の範囲を総合的に考慮して判断されます。

判例から分かる脊柱の後遺障害の慰謝料相場

脊柱に後遺障害が残ってしまった場合の慰謝料の相場はどれくらいなのでしょうか。

具体的な事情によりかなり変化します。障害が重いと判断された場合には、1000万円近くの後遺障害慰謝料を獲得できる場合があります。

そんなに高いんですね。でも、被害者の負担からしたら、当然かもしれませんね。

(まとめ表)

判例年月日 後遺障害の内容 後遺障害の等級 後遺障害慰謝料
東京地判
平成16.2.27
脊柱運動障害(否定) 14級 250万円
東京地判
平成17.1.27
脊柱変形 7級 710万円
名古屋地判
平成19.6.22
脊柱変形 11級 450万円
名古屋地判
平成20.2.27
脊柱運動障害等 不明 1000万円
東京地判
平成21.5.26
脊柱変形等 11級 500万円
仙台地判
平成21.7.21
脊柱運動障害等 7級 1000万円

この表から分かる通り、脊柱の後遺障害を裁判で主張した場合、その金額は具体的な事情に応じて250万円~1000万円と、かなりの開きがあります。傾向としては、変形障害よりも運動障害の後遺障害の方が、高額な慰謝料を請求できるようです。

脊柱の後遺障害は、生活のあらゆる場面で支障が生じる、極めて負担の大きい後遺障害です。少しでもその負担を金銭的に和らげるためには、適切な慰謝料を支払ってもらうことが重要です。

交通事故に詳しい弁護士であれば、脊柱の後遺障害を負ってしまった方のために、裁判において適切かつ十分な弁護活動をし、適当な慰謝料を得ることができます。是非一度、弁護士にご相談ください。


後遺障害の慰謝料.comの監修医師

藤井 宏真 医師

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