脊柱・体幹骨の後遺障害ガイド

ろっ骨・骨盤骨の後遺障害慰謝料ガイド

このページでは、弁護士が「ろっ骨・骨盤骨の後遺障害の慰謝料」について解説しています。

交通事故によりろっ骨や骨盤骨に後遺障害を負ってしまった方へ。ろっ骨や骨盤骨に後遺障害が残ってしまうと、日常の様々な動きで痛みが生じたり、体の可動域が制限されたりして、大きな負担になりますよね。

このページでは、交通事故でろっ骨や骨盤骨に後遺障害を負ってしまった方に向けて、ろっ骨や骨盤骨の後遺障害の種類や、慰謝料の相場等についてご紹介します。

交通事故によるろっ骨・骨盤骨の外傷

交通事故によるろっ骨や骨盤骨の外傷には、どのような種類があるのでしょうか。

やはり一番多いのは骨折です。交通事故の衝撃でろっ骨や骨盤骨にひびが入ったり折れたりすることが多いですね。

骨折が多いんですね。とくに骨盤骨の骨折なんて、本当に痛そうです…。

1 ろっ骨・ろく軟骨の骨折

① ろっ骨・ろく軟骨とは
ろっ骨・ろく軟骨

Henry Vandyke Carter [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

ろっ骨とは、人間の胸の部分にある骨をいいます。ろっ骨は合計24本あり、脊椎(背骨の部分)から内臓を覆う形で伸びており、内臓を守る役割を果たしています(上記図の白色部分)。

ろく軟骨とは、ろっ骨の前部にある軟骨で、一部のろっ骨と胸骨(ネクタイのような胸部にある骨。上記図参照)をつないでいます(上記図の黒色部分)。ろく軟骨は、胸部を保護する他、胸部の弾力性と可動性を高める役割を果たしています。

② 交通事故によるろっ骨・ろく軟骨骨折の原因
ろっ骨やろく軟骨は、骨折しやすい部位として知られています。なぜなら、ろっ骨やろく軟骨は1本1本が細長く、衝撃に弱いからです。

交通事故では、胸部が車両と接触した場合の他、転倒して地面に胸部を打ちつけることにより骨折する場合が多いです。

③ ろっ骨・ろく軟骨骨折の症状
ろっ骨が骨折した場合でも、他の部位の骨折に比べて苦痛は少ないです。ろっ骨は複数の骨が互いに支え合っているため、1本のろっ骨が折れても、他の骨折ほどの痛みが生じないためです。

しかし、複数のろっ骨が骨折してしまった場合や、骨折したろっ骨が内臓に刺さってしまう場合には、激しい痛みが伴うこともあります。

一方、ろく軟骨の骨折は、骨折部分に激しい痛みを伴います。また、ろく軟骨は、胸部の弾力性や可動性を高める役割があるため、ろく軟骨を骨折すると、胸部をねじったり曲げたりすることが痛みによりできなくなり、日常生活に大きな支障がでます。

④ ろっ骨・ろく軟骨骨折の治療
ろっ骨の骨折では、ほとんどの場合保存療法が選択されます。具体的には、バンドのようなもので胸部を3~4週間固定することが一般的です。

ろく軟骨も基本的には同様で、バンド等により固定する保存療法が選択されます。しかし、ろく軟骨は軟骨であるため、骨よりも回復が遅く、4~6週間の固定が必要です。

2 骨盤骨の骨折

① 骨盤骨とは

女性の骨盤骨
女性の骨盤骨

Henry Vandyke Carter [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

男性の骨盤骨
男性の骨盤骨

Henry Vandyke Carter [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

骨盤骨とは、脊柱(背骨)と大腿骨(太股部分の骨)と連結し、上半身と下半身をつなぐ役割を果たしている他、様々な動作について上半身を支える基盤となるという役割を果たしています。さらに、内臓や生殖器等を保護する役割も果たしています。

② 交通事故による骨盤骨骨折の原因
骨盤骨の骨折は、ほとんどの場合外部から強度の衝撃を受けた場合に生じます。そのため、交通事故においては、骨盤付近が車両と接触する、衝撃で転倒しガードレールに骨盤をぶつける等の原因により、骨盤骨が骨折することが多いです。

③ 骨盤骨骨折の症状
骨盤骨骨折は、非常に強い痛みを伴います。その痛みから、歩くこと等ができなくなることも多いです。また、骨盤骨が骨折した場合には大量に出血することが多く、出血と痛みでショック状態になることもあります。さらに、骨盤骨の骨折により骨盤骨が支えている内臓や生殖器等にも影響が出て、排泄障害や神経障害等が出ることもあります。

④ 骨盤骨骨折の治療・リハビリ
骨盤骨の骨折は、その種類により、手術が必要な場合と必要でない場合があります。

骨盤は、通常時は靭帯によってその位置が固定されているところ、靭帯による骨盤骨の固定が可能な場合には、大量出血のおそれも低く、自然治癒が見込まれるため、手術は行わないことが多いです。この類型を、安定型といいます。

一方、靭帯による骨盤骨の固定が不可能な場合を不安定型といい、この場合には大量出血をすることが多く、また自然治癒が見込めないことも多いため、手術が必要になる可能性が高くなります。

骨盤骨骨折のリハビリは、3段階にわたって行われます。

第1段階は、ベッド上での安静期間に行われます。この段階では、骨盤に負荷を与えることができないため、マッサージやストレッチによる股関節の可動域運動、簡単な筋力トレーニングを行います。

第2段階では、骨盤に多少の負荷をかけながら行います。この段階では、医師の判断によりかける負荷を体重の1/3、1/2、3/2と増やしていきながら、平行棒を使った歩行訓練等を行います。

第3段階では、完全に体重分の負荷をかけた状態で、立ち上がり行為や階段の上り下り、車の乗り降り等の動作訓練を行います。

(まとめ表)

外傷の種類 症状 治療・リハビリの特徴
ろっ骨骨折 痛みはそれほど強くないが、骨折の態様によっては激しい痛み バンド等で3~4週間固定する
ろく軟骨骨折 痛みが強いことが多く、胸部をねじったり曲げたりすることができなくなる バンド等で4~6週間固定する。
骨盤骨骨折 非常に痛みが強く、骨折後は動けないことも多い 骨折の態様によっては手術をすることも多い
治療の段階に応じて、適切な負荷をかけながら、歩行訓練等を行う

ろっ骨・骨盤骨の後遺障害ガイド

ろっ骨や骨盤骨の後遺障害には、どのような種類があるのでしょうか。

どちらも、骨折による変形が残ってしまう変形障害や、痛み等が残ってしまう神経障害があります。また、骨盤骨については、股関節の可動域制限が残ることもあります。

大変な後遺障害ですね…。特に股関節の可動域制限なんて、日常生活での支障が半端じゃなさそうです。

1 ろっ骨・ろく軟骨の後遺障害

① ろっ骨・ろく軟骨の変形障害
ろっ骨やろく軟骨を骨折した場合、骨折した部分がうまくくっつかないことにより、変形した状態で固定されてしまう場合があります。このような後遺障害を、変形障害といいます。

後遺障害等級において、ろっ骨やろく軟骨の変形が認められるためには、その変形が「著しい変形」であることが必要となります。そして、「著しい変形」とは、裸体となった時にときに変形が外部から明らかにわかる程度のものをいいます。

(ろっ骨・ろく軟骨の変形障害についての後遺障害等級認定基準)

等級 後遺障害の内容
12級5号 ろっ骨・ろく軟骨に著しい変形が認められる場合

② ろっ骨・ろく軟骨部分の神経障害
ろっ骨やろく軟骨部分の外傷が回復しても、痛みや痺れ等が引き続き残ることがあります。このような後遺障害を、神経障害といいます。

神経障害については、その症状が、ろっ骨やろく軟骨部分の外傷によるものと医学的に証明できるか、または医学的に説明可能(矛盾しない)にとどまるかにより、異なる後遺障害等級認定がなされます。

(ろっ骨・ろく軟骨の神経障害についての後遺障害等級認定基準)

等級 後遺障害の内容
12級13号 ろっ骨、ろく軟骨部分の外傷によるものと医学的に証明できる神経症状が認められる場合
14級9号 ろっ骨、ろく軟骨部分の外傷によるものと医学的に説明できる神経症状が認められる場合

2 骨盤骨の後遺障害

① 骨盤骨の変形障害
骨盤骨骨折においても、骨折部分が変形したままになる変形障害が生じる場合があります。この場合にも、ろっ骨やろく軟骨の変形障害と同様の基準で後遺障害等級が認定されます。

(骨盤骨の変形障害についての後遺障害等級認定基準)

等級 後遺障害の内容
12級5号 骨盤骨に著しい変形が認められる場合

② 股関節の可動域制限
骨盤骨は、足の太股部分にある大腿骨とつながっており、大腿骨の股関節部分と接しているため、骨盤骨の骨折により、股関節の可動域が制限されることがあります。この場合、その可動域の範囲や、人工関節等の置換の有無等により、異なる後遺障害等級が認定されます。

(股関節可動域制限の後遺障害等級認定基準)

等級 後遺障害の内容
8級7号 ・股関節の関節が硬直した場合
・股関節の完全弛緩性麻痺(力が入らない状態)またはこれに近い状態の場合
人工関節等に置換した場合で、その可動域が通常の50%以下に制限されている場合
10級11号 ・股関節の可動域が通常の50%以下に制限されている場合
人工関節等に置換した場合
12級7号 股関節の可動域が通常の75%以下に制限されている場合

③ 骨盤骨部分の神経障害
骨盤骨についても、骨盤骨の外傷部分に痛みや痺れ等の神経障害が残ることがあります。そして、神経障害として後遺障害等級認定されるか否かも、ろっ骨やろく軟骨と同様の基準により判断されます。

(骨盤骨の神経障害についての後遺障害等級認定基準)

等級 後遺障害の内容
12級13号 骨盤骨の外傷によるものと医学的に証明できる神経症状が認められる場合
14級9号 骨盤骨の外傷によるものと医学的に説明できる神経症状が認められる場合

判例からわかる!ろっ骨・骨盤骨の後遺障害の慰謝料相場は?

ろっ骨や骨盤骨に後遺障害が残ってしまった場合、慰謝料の相場はどれくらいなのでしょうか。

具体的な事情により様々ですが、300万円から900万円の間位が多いようです。

かなり幅があるんですね。どうにか適切な慰謝料を受け取ってもらいたいです。

(まとめ表)

判例年月日 後遺障害の内容 後遺障害の等級 後遺障害慰謝料
大阪地判
平成10.9.8
ろく軟骨変形等 12級 340万円
神戸地判
平成12.8.29
骨盤骨変形等 併合9級 616万円
東京地判
平成14.11.26
ろっ骨の変形障害等 併合5級 850万円
東京地判
平成15.12.1
ろっ骨の変形障害等 12級 550万円
神戸地判
平成19.5.24
股関節の可動域制限等 併合8級 819万円

この表から分かる通り、ろっ骨や骨盤骨の後遺障害についての慰謝料額は、具体的な事情によりかなり変化します。

一般的には、ろっ骨の後遺障害よりも骨盤骨の後遺障害の方が高い等級が認められると言えますが、ろっ骨の後遺障害についても、他の後遺障害と一緒に主張することにより、より高い後遺障害等級が認定されることがあります。

適切な慰謝料を獲得するためには、裁判での適切かつ十分な主張が必要不可欠です。

交通事故に詳しい弁護士なら、後遺障害が残ってしまった方の代わりに、適切な慰謝料を受け取るための十分な主張・活動をすることができます。是非一度交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。


後遺障害の慰謝料.comの監修医師

藤井 宏真 医師

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