中軽度の後遺障害等級
後遺障害等級13級の慰謝料は?
このページでは、「13級の後遺障害が残る被害者の交通事故慰謝料の傾向と対策」について徹底調査した結果を報告しています。
13級の後遺障害の基本と慰謝料相場は?
13級の後遺障害とは
13級の後遺障害には、以下の表にまとめた11種類の眼・歯・上肢・下肢・臓器の障害がある。13級に認定される例はまれであり、平成25年度の統計では全認定件数のうち0.93%しか認定された例はないようだ。
13級の後遺障害について、より詳細な基準を確認したい場合には、後遺障害等級13級の慰謝料(具体例)のページを参考にするといいだろう。
(解説)
後遺障害13級 |
|
1 |
一眼の視力が0.6以下になったもの |
2 |
正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの |
3 |
一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
4 |
両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
5 |
五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
6 |
一手のこ指の用を廃したもの |
7 |
一手のおや指の指骨の一部を失ったもの |
8 |
一下肢を一センチメートル以上短縮したもの |
9 |
一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの |
10 |
一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの |
11 |
胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
13級の慰謝料相場
13級の後遺障害が認定されると、裁判で認められる慰謝料の相場は180万円となる。
交渉段階では、保険会社からはたった70万円しか提示されない場合が多い。しかし、裁判までしなくても弁護士を立てて保険会社と交渉すれば180万円に近い慰謝料を払ってもらうことが可能だ。
この他に、被害者は自賠責保険に対して57万円の後遺障害慰謝料を直接請求することもできる。この場合、相場との差額分は任意保険会社か加害者から支払いを受けることになる。
被害者は、13級の慰謝料として最低でも180万円を確保できるようにできる限り弁護士に依頼した上で保険会社と交渉するべきだろう。
13級の後遺障害慰謝料 |
|
自賠責保険 |
57万円 |
任意保険からの提示額 |
70万円 |
慰謝料相場 |
180万円 |
13級の慰謝料の裁判例の傾向は?
13級の後遺症が認定された最近の裁判例は意外に少なく、調査でヒットした7件の裁判例を一覧としてまとめてみた。
13級の慰謝料としては139万円~300万円まで認定の幅があった。慰謝料の平均値は205万円と相場よりも25万円上回る傾向にある。
なかには、被害者が150万円しか慰謝料を請求していないのに、裁判所の裁量で請求額を50万円も上回る200万円の慰謝料が認められた事例もあった。
13級の慰謝料の傾向としては相場を上回る例が多いようなので、被害者としては相場水準よりも増額して慰謝料を請求すべきといえるだろう。
(まとめ表)
(単位:万円)
後遺症13級の慰謝料を増額するポイントは?
13級の裁判例を分析すると、相場よりも増額される例としては、大きく分けて以下の4つの類型に区別することができる。
・13級、14級の障害が複数ある場合
・13級で通常予定されている以上の特別な不利益がある場合
・13級の逸失利益が否定され慰謝料で考慮された場合
・加害者に故意・重過失や不誠実な態度がある場合
以下で詳しく報告していこう。
13級、14級の障害が複数ある場合
実際の裁判例では、13級の視力障害以外に、頚部痛と顔面障害という2つの14級の後遺障害が残った事例において、220万円の慰謝料が認められた。相場よりも40万円上回る水準だ。
この他にも、13級の障害が2つ、14級の障害が1つある事例で200万円の慰謝料が認められた例もあった。
後遺障害が複数ある場合には、併合13級の認定がされることになるが、単独で13級の場合に比べて不利益の度合いが大きいので慰謝料が増額される可能性は高いといえるだろう。
13級で通常予定されている以上の特別な不利益がある場合
13級の慰謝料相場は、13級の後遺障害で通常予定されている程度の不利益を織り込んだ金額として設定されている。
13級の障害を負った被害者に、特別な不利益が発生していれば慰謝料が相場よりも増額される可能性が高くなる。
実際の裁判例では、13級が認定された左手の障害により、30年間以上続けてきた能管や小太鼓の演奏ができなくなった被害者について、300万円の慰謝料が認められた例がある。相場を120万円も上回る水準となる。
被害者としては、趣味や仕事、日常生活などにおいて特別な不利益がないかどうかを確認して増額に向けた戦略を練るのが有益だろう。
13級の逸失利益が否定され慰謝料で考慮された場合
歯の障害で13級が認定されることがあるが、歯が欠けても労働能力に影響を与えず、逸失利益が否定されることがある。
そのような場合、逸失利益で補償を受けられない部分をカバーするために慰謝料を増額して調整する処理がされることが多い。
実際の事例では、歯の障害を負った被害者について相場を上回る200万円の慰謝料が認められた例があった。
加害者に故意・重過失や不誠実な態度がある場合
最後に、どの等級の事故にも共通する増額理由として、加害者が飲酒運転や信号無視をした事故、事故後に逃走を図った事故、不合理な主張をして責任逃れをした事例などについて増額が認められることが多い。
目安としては相場に対して20%程度加算して請求することになるだろう。
(まとめ表)
増額理由 |
具体例 |
13級、14級の障害が複数ある場合 | 13級の視力障害、14級の頚部痛、14級の顔面障害が重複した事例 |
13級で通常予定されている以上の特別な不利益がある | 左手の障害により、30年以上続けてきた能管や小太鼓ができなくなった |
13級の逸失利益が否定され慰謝料で考慮された | 歯牙障害などで逸失利益が否定されたとき慰謝料を増額して考慮された例 |
加害者に故意・重過失や不誠実な態度あり | 飲酒運転、故意の割り込み、不合理な責任回避の主張 |
まとめ
13級の後遺障害を負う例は少ないが、認定された事例では増額理由が伴うことも少なくない。その場合には、適切な増額理由を主張立証した上で、一定割合を相場に加算した慰謝料を請求するように注意が必要だ。
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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