事前認定の流れと基礎知識
後遺障害の事前認定の必要書類は?
このページでは、「交通事故の被害者が収集すべき後遺障害の事前認定の必要書類」について徹底調査した結果を報告しています。
被害者が事前認定のために集めるべき必要書類とは!?
事前認定とは、交通事故被害者の後遺障害を認定する手続の一種であり、保険会社が主体となって申請するものをいう。これに対し、被害者が主体となって後遺障害を申請する方法として、被害者請求という手続がある。
被害者が事前認定による後遺障害の申請を選んだ場合、被害者が独自に集めるべき必要書類は、後遺障害診断書だけであることがほとんどだ。
被害者請求の場合、以下の表にまとめた多くの必要書類をそろえる必要があるが、事前認定の場合は被害者が独自に書類を集める手間が省けるのだ。
通常、保険会社の担当者は、治療期間中に診断書と診療報酬明細書を入手しており、病院からレントゲン等の画像を入手して事前認定の申請を行うことになる。
事前認定による後遺障害の申請は、被害者にとって必要書類を収集する煩雑な手間や費用の負担がないという意味ではメリットがある方法といえるだろう。
(まとめ表)
被害者請求 |
事前認定 |
|
自賠責保険金請求書 |
必要 |
不要 |
交通事故証明書 |
必要 |
不要 |
事故発生状況報告書 |
必要 |
不要 |
診断書 |
必要 |
不要 |
診療報酬明細書 |
必要 |
不要 |
通院交通費明細書 |
必要 |
不要 |
付添い看護自認書 |
必要 |
不要 |
休業損害証明書 |
必要 |
不要 |
印鑑証明書 |
必要 |
不要 |
後遺障害診断書 |
必要 |
必要 |
レントゲン・CT・MRI画像 |
必要 |
不要 |
唯一の必要書類である後遺障害診断書の作成のポイントは!?
交通事故の被害者が、事前認定によって後遺障害を申請する場合には、後遺障害診断書が唯一の必要書類となる。
後遺障害診断書は、事前認定での後遺障害認定の結果を大きく左右する重要書類なので、適切かつ十分な内容のものを入手する必要があるだろう。
被害者は、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことになるが、前提として診断書作成に必要な検査を十分実施してもらっておく必要がある。検査が不十分だと、不適切な内容の診断書になる可能性があるので注意が必要だ。
また、後遺障害診断書の作成経験が豊富な医師に診断書を作成してもらうことも大切だ。経験の乏しい医師の場合、診断書への記載内容に漏れがあったり、不十分な記載になったりすることも少なくないからだ。
ただし、主治医の経験値は被害者にはあらかじめ把握しづらいため、主治医の経験不足を補うために、後遺障害の認定実務に詳しい弁護士から後遺障害診断書の作成要領を交付してもらい、必要に応じて診断書の修正依頼をしてもらうことが有益だろう。
(まとめ表)
経験の豊富な医師 | 経験の乏しい医師 | |
必要な検査あり | 適切・十分な診断書 | 不十分な診断書 |
必要な検査が不足 | 不適切な診断書 | 不適切・不十分な診断書 |
必要書類の収集の手間が省けることの代償とは!?
事前認定による後遺障害の申請は、被害者にとって必要書類を収集する手間や費用などの負担が省けるというメリットがある一方、それなりの代償がある。
事前認定は、被害者請求と比較して、後遺障害の認定結果が被害者にとって不利になるリスクがあるということだ。
ただし、そのリスクにも後遺障害の内容に応じた程度がある。レントゲン・CT・MRI画像などにより後遺障害が客観的に確認できる場合には、「他覚的所見がある」というが、この場合には事前認定によっても、不利な結果になるリスクは小さいようだ。
ただし、むちうち症などの神経障害の場合には、ヘルニアなど他覚的所見があったとしても、神経症状と一致していない場合も少なくないため、いまだにリスクは一定程度あるようだ。
いずれにしても、事前認定の方法で足りるか、被害者請求の方法をとるべきかは、ケースバイケースなので、交通事故の後遺障害の認定実務に詳しい弁護士に相談した上で慎重に判断すべきだろう。
(まとめ表)
神経障害 |
その他の障害 |
|
他覚所見あり | 不利な認定結果になるリスク中 | 不利な認定結果になるリスク小 |
他覚所見なし | 不利な認定結果になるリスク大 | 不利な認定結果になるリスク大 |
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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