中軽度の後遺障害等級
後遺障害等級8級の慰謝料は?
このページでは、「交通事故における後遺障害8級の慰謝料の相場と増額するためのポイント」について徹底調査した結果を報告しています。
8級の後遺障害になったとき覚えておくべき3つの金額とは?
8級の慰謝料の3つの金額
交通事故の被害者に8級の後遺障害が残ったとき、被害者がぜひとも覚えておくべき以下の3つの金額がある。
・任意保険会社から提示される慰謝料額
・弁護士に交渉を依頼した場合の慰謝料額(相場)
これらは、被害者が交通事故の示談で損をしないためにはぜひとも必要な知識といえる。
加害者が任意保険に加入していない場合には、被害者は8級の後遺障害に関する慰謝料だけで324万円の自賠責保険金を受け取ることができる。
加害者が任意保険に加入している場合には、慰謝料相場として830万円の慰謝料を払ってもらうことができる。
被害者がこれらの知識を知らずに自力で保険会社と交渉していると、保険会社から相場を大幅に下回る400万円の慰謝料を提示されることがある。
この水準で示談してしまうと被害者は大損失を受けることになるので、絶対に示談してしまわないように気をつけよう。
8級の後遺障害慰謝料 |
|
自賠責保険 |
324万円 |
任意保険からの提示額 |
400万円 |
慰謝料相場 |
830万円 |
8級を認定してもらえる場面
被害者が相場水準の慰謝料を払ってもらえるのは、あくまで8級の後遺障害が認定された場合だ。
8級の後遺障害には、以下の表に挙げた全10種類がある。ただし、神経障害のようなメジャーな類型がないため、8級そのものの後遺障害に該当する例はあまり多くないのが実情だ。
どのような場合に8級の後遺障害に当たるのかについては、後遺障害等級8級の慰謝料(具体例)のページで詳しい認定基準を報告しているよ。
8級に認定される場面として多いのが、たとえば9級と12級の後遺障害が残った場合に、2つの後遺症を合わせて併合8級と認定される場合だ。
複数の後遺障害の併合の考え方については後遺症の場合の交通事故慰謝料が参考になる。
なお、後遺障害の慰謝料の金額を決める最も重要な要素は後遺障害認定を受けた等級だ。被害者はできる限り上位の等級認定を受けられるようにすることを最優先すべきだろう。
後遺障害認定に関する手続の詳細はこのHPの第1章~第6章で詳しく報告しているから、気になるページだけでもいいので確認してみてほしい。
後遺障害8級 |
|
1 |
一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの |
2 |
脊柱に運動障害を残すもの |
3 |
一手のおや指を含み二の手指を失ったもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの |
4 |
一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの |
5 |
一下肢を五センチメートル以上短縮したもの |
6 |
一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
7 |
一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの |
8 |
一上肢に偽関節を残すもの |
9 |
一下肢に偽関節を残すもの |
10 |
一足の足指の全部を失ったもの |
8級の裁判例における慰謝料の傾向は?
8級の後遺障害が認定された場合、実際の裁判ではどれくらいの慰謝料を認めてもらえるのか傾向を理解しておくことは大切だ。
慰謝料の相場は存在するものの一律な計算方法はないため、実際の裁判例から増額の見込みを予測する必要があるからだ。
そもそも慰謝料は、被害者の精神的苦痛に対する金銭的補償だ。苦痛の程度は各個人によって異なり、一律に一定額を設定することは本来できないはずである。
ただし、交通事故では後遺障害の等級という一応の指標によって慰謝料額の相場が決められている。しかし、これはあくまで相場にすぎないので、具体的な慰謝料額はケースバイケースとなる。
8級の慰謝料でいえば、最近の裁判例12件を一覧としてまとめてみた。
被害者本人分の慰謝料の相場が830万円であるのに対し、実際の例では770万円~1200万円と大きな幅があることが分かった。相場より増額されている例は全て、相場を大きく超える請求がされている事例であった。
12件の裁判例の平均値は908万円であり、相場を約80万円も上回っている。
この原因は、複数の後遺障害があるため併合8級の認定を受けた事例が多いためと考えられる。後遺障害が複数あればその分、等級以上に精神的苦痛も大きくなる傾向にあるからだ。
家族の固有の慰謝料が請求された4件のうち、慰謝料が認められたのは2件であった。うち1件は、被害者が後遺障害の苦痛が原因で婚約者とともに自殺したという特殊な事例であった。
もう1件は、被害者の母親が介護作業中に背骨を圧迫骨折したため母親にも後遺障害が残ってしまった事例だ。
つまり、8級にまでなると家族固有の慰謝料が認められるためのハードルはかなり高くなる傾向にあるようだ。
これから8級の後遺障害の慰謝料を請求しようとする被害者としては、これらの裁判例の傾向を理解した上で適切な請求額を設定し、具体的な増額理由を主張立証すべきだろう。
8級の慰謝料を増額してほしい場合は?
交渉では解決せず裁判になったにもかかわらず、控えめに相場水準の慰謝料しか請求しなければ、慰謝料の増額は全く期待できない。
裁判例の傾向からも分かるとおり、8級の慰謝料は被害者の熱意と弁護士の訴訟戦略上の工夫により相場より増額してもらえる可能性が十分あるのだ。
被害者の家庭内での立場に着目すると、一家の支柱の場合、母親・配偶者の場合は事故後の家庭内での事情に応じて慰謝料を増額してもらえる可能性がある。
被害者が20歳以下の場合にも、後遺障害を負う期間が長期にわたるため増額してもらえる可能性がある。加害者に故意・重過失や不誠実な態度がある場合には慰謝料を増額してもらいやすい。
裁判で請求する際の具体的な請求額の一例は以下の表にあるとおりだ。増額する場合の基準が分からない場合はこの水準を参考にしてみるといいだろう。
裁判を受任する弁護士にとって、争点になりやすい逸失利益や休業損害などについては具体的な主張立証を行いやすい。
一方、慰謝料の増額理由となると確立した基準もないため、裁判での主張立証が手薄になりやすいのだ。
しかし、他の損害項目と比べて、後遺障害の慰謝料ほど増額してもらいやすいものはないともいえる。慰謝料の金額を決める際の考慮要素は無制限であり、被害者の熱意が裁判官に届けば100万円単位で金額が上昇しやすいのだ。
8級の後遺障害の事案では、全ての損害項目を含めると何千万円という賠償額に上ることがほとんどであり、慰謝料は見逃されやすい項目だ。
しかし、被害者が精神的苦痛に対する適正な補償を受けなければ、真に満足行く解決は見込めないのだ。
現状の慰謝料の相場水準は、被害者の負う精神的負担と比べてあまりにも低すぎる。被害者は、慰謝料請求に関する豊富なノウハウのある弁護士に依頼した上で、適正な慰謝料の補償を受けるべきだろう。
慰謝料額 |
決定基準 |
|
慰謝料相場 |
830万円 |
相場水準 |
一家の支柱 |
1000万円 |
約20%増額 |
母親・配偶者 |
920万円 |
約10%増額 |
1歳~20歳前後 |
1000万円 |
約20%増額 |
加害者に故意・重過失や不誠実な態度あり |
1000万円 |
20%増額 |
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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