中軽度の後遺障害等級

後遺障害等級12級の慰謝料は?

このページでは、「12級の後遺障害が残った場合の交通事故の慰謝料の相場と、最新の傾向からみえる増額のポイント」について徹底調査した結果を報告しています。

12級の後遺障害の種類と慰謝料の相場は?

12級の後遺障害と慰謝料の相場について教えてください。

12級は後遺障害の中で2番目に多く認定される後遺障害なんだ。その分、慰謝料を増額するための戦略は重要になるね。

そんなこと今まで全く知りませんでした。

12級の後遺障害とは

14段階ある後遺障害の中でも、認定件数に占める12級の割合は17.5%もあり(平成25年度統計)、14級に次いで二番目に多い。12級の後遺障害には14種類あるとともに、認定件数の多いものが複数含まれているからだ。

たとえば、12級5号の骨盤骨等の変形障害、12級6号・7号の関節機能障害、12級8号の長管骨の変形障害、12級13号の神経障害の認定件数は比較的多いといえる。

12級で実務上よく問題になるのが、事故の衝撃でむちうち症が発生し、MRI画像上も椎間板ヘルニアの所見がみられる場合だ。

事故が原因でヘルニアが発生したことが分かれば、むちうち症で12級の認定を獲得できる場面は少なくない。

12級の後遺症の認定基準の詳細や、むちうち症で12級を獲得するためのポイントは後遺障害等級12級の慰謝料(具体例)で報告しているので、ぜひ参考にしてほしい。

(まとめ表)

後遺障害12級

1

一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

2

一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

3

七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

4

一耳の耳殻の大部分を欠損したもの

5

鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

6

一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

7

一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

8

長管骨に変形を残すもの

9

一手のこ指を失ったもの

10

一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

11

一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの

12

一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの

13

局部に頑固な神経症状を残すもの

14

外貌に醜状を残すもの

12級の慰謝料相場

後遺障害の慰謝料は、等級ごとに相場が決められている。12級の慰謝料の相場は290万円とされており、裁判官もこの相場をとても重視しているそうだ。

被害者は、被害者請求という手続をとれば自賠責保険から12級の慰謝料93万円を直接受け取ることもできる。この場合、相場との差額約200万円については、加害者か任意保険会社に請求することになる。

なお、被害者が弁護士を立てずに保険会社に慰謝料を請求しても、相場の約3分の1にすぎない100万円の提示しか受けられないことが多い。弁護士に依頼するだけで、慰謝料が3倍にまでアップするようだ。

被害者としては、12級の後遺症認定を受けたときは最低でも慰謝料相場の290万円の支払いを受けられるように対策を立てるべきだ。

その方法としては、弁護士に依頼して交渉してもらうか、裁判をするかという2つの選択肢しかない。安易に示談をしてしまうと取り返しがつかないので、できる限り早期に弁護士に相談するようにしよう。

12級の後遺障害慰謝料

自賠責保険

93万円

任意保険からの提示額

100万円

慰謝料相場

290万円

12級の裁判例からみえる慰謝料の傾向は?

裁判例の傾向から12級の慰謝料について何か分かりますか?

12級の裁判例の傾向をみると相場を大幅に超える事例が多いことが分かるね。被害者としては裁判で相場通りの慰謝料を請求するだけでは不十分ということだね。

本当ですね!相場水準のハードルは高いと思ってましたけど、相場の範囲内で諦めるのはまだ早いですね。

後遺障害の慰謝料には一応の相場があるものの、本来は被害者が心理的に癒されたと感じるのに妥当な金額を算定しなければならない。慰謝料には相場だけでは割り切れないものがあるのだ。

そこで、最近の12級の裁判例を調査することで慰謝料の傾向を把握し、活用していくことが大切だ。ここでは、最近5年間の12級の後遺症の裁判例10件を一覧としてまとめてみた。

12級の慰謝料は280万円~440万円まで大きな幅があった。慰謝料の平均値は355万円であり、慰謝料相場より65万円も高い傾向にある。

12級の慰謝料は400万円以上まで増額される可能性があるため、裁判での請求段階では450万円または400万円の慰謝料を請求するのが望ましいといえる。

最初から請求額を低く設定してしまうと、増額される可能性がほとんどなくなってしまうからだ。

慰謝料の請求額を高めに設定するだけでなく、具体的な増額理由を明示して具体的に立証する点にも力を入れる必要がある。これらを実践すれば、12級の事案で相場よりも慰謝料を増額してもらえる可能性が高まるのだ。

(まとめ表)

裁判例からみえる12級の慰謝料を増額するためのポイントは?

12級の慰謝料を増額してもらうには、どういう理由があればいいんですか?

裁判例を分析すると、裁判で増額してもらいやすい理由がみえてくるよ。この点を集中的に主張立証する戦略が有効だね。

12級の慰謝料増額を実現するにはそのための戦略が欠かせないってことですね。

最近の12級の裁判例を調査したところ、相場水準よりも慰謝料が増額されている裁判例に共通する増額理由があることが分かる。

分析結果から分かるのは以下の4パターンだ。

・12級では評価されない症状があった場合
・12級で通常予定されている以上の不利益がある場合
・12級の逸失利益が否定され慰謝料で考慮される場合
・加害者に故意・重過失や不誠実な態度がある場合

以下で詳しい内容を報告していく。

12級では評価されない症状があった場合

12級に認定された後遺障害とは別に、日常生活や仕事に悪影響を与える症状がある場合には慰謝料の金額に反映してもらえる場合がある。

実際の裁判であった事例として、脛骨の変形障害が12級8号に認定されたが、それ以外に膝の化膿性慢性骨髄炎の疾患が生じたという例がある。

膝の骨髄炎はいつ再発するかも分からず、将来的に手術を受けなければならない可能性がある。このような場合には、被害者の不安や精神的苦痛は通常よりも大きいはずなので、慰謝料が増額されるべきである。

この事例では、慰謝料相場よりも100万円増額され390万円の慰謝料が認められた。

12級で通常予定されている以上の不利益がある場合

12級の後遺障害において通常予定されているよりも特別な不利益がある場合には慰謝料が増額されやすい。

実際の裁判では、骨盤骨の著しい変形により12級5号が認定された女性について、骨盤変形により将来の出産分娩への支障や、恥骨の骨折により性交時に痛みが生じるという不利益を慰謝料に反映した例がある。

この事例では、相場より110万円高い400万円の慰謝料が認められた。

12級の逸失利益が否定され慰謝料で考慮された場合

外貌の醜状痕などの場合、職種によっては仕事への影響が少なく労働能力喪失率が通常の14%よりも低く判断され、逸失利益の補償が少なくなることがある。

このような場合に、慰謝料で逸失利益での不足分を補うことがある。34歳女性で大工見習いの被害者について、この点が考慮されて慰謝料370万円が認められた例がある。

加害者に故意・重過失や不誠実な態度がある場合

加害者に飲酒運転や信号無視、事故後の逃走や不合理な弁解などの行為があった場合、真摯に反省している場合と比べて被害者の怒りや失望の感情は大きくなる。

このような場合、12級だけに限らずどの等級の事案でも慰謝料の増額理由になることが多い。被害者としては慰謝料相場よりも20%程度増額した上で請求すべきだろう。

(まとめ表)

増額理由

具体例

12級では評価されない症状があった 12級8号の脛骨変形があるが、等級で評価されない左膝化膿性慢性骨髄炎という再発のおそれがある疾患が残った
12級で通常予定されている以上の不利益がある ・骨盤骨の変形により分娩時に支障が生じる

・恥骨の骨折により性交時に痛みが生じる

12級の逸失利益が否定され慰謝料で考慮された ・醜状痕が逸失利益に影響を与えないが、日常生活への不利益がある
加害者に故意・重過失や不誠実な態度あり 飲酒運転、故意の割り込み、不合理な責任回避の主張

まとめ

後遺障害が認定される事故のうちの約20%が12級の被害者だ。裁判例の傾向をみる限り、被害者や弁護士が熱意をもって慰謝料増額のための戦略を立て、具体的な立証を行えば、相場より大幅に増額される可能性も十分ある。

被害者としては、できる限り満足の行く解決に近づけるようにするために、ノウハウと経験豊富な弁護士と協力関係を築き、最善の方法をとるようにすべきだ。


後遺障害の慰謝料.comの監修医師

藤井 宏真 医師

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