簡単・はじめての慰謝料入門
後遺障害の慰謝料の計算方法は?
このページでは、「交通事故の後遺障害の慰謝料の計算方法、人身傷害保険による後遺障害慰謝料、介護料の計算」について徹底調査した結果を報告しています。
後遺障害の慰謝料はどうやって計算するの!?
交通事故で後遺障害の残った被害者にとって、後遺障害の慰謝料の計算方法は気になるところだろう。慰謝料の考え方の基本は、被害者の被った精神的苦痛をお金に換算することだね。
交通事故においては、後遺障害の等級が上がれば、それだけ被害者の感じる精神的苦痛は大きくなると考える。
もちろん、被害者の年齢や性別によって、精神的苦痛の大きさは異なるだろう。しかし、大量に発生する交通事故を迅速に処理するために、被害者の年齢や性別が慰謝料額に反映されないことが多いのが実情だね。
なお、後遺障害の慰謝料は、交渉段階では、弁護士を通して保険会社と交渉しなければ、相場水準の慰謝料を払ってもらうことは難しい。
以下の表にあるとおり、弁護士をつけて初めて実現する弁護士基準の慰謝料は、任意保険基準に比べて大幅に増額されていることが分かるね。交通事故の交渉は、弁護士に依頼しなければ損をするということに注意すべきだろう。
(まとめ表)
後遺障害慰謝料(万円) |
|||||
等級 |
弁護士基準 |
任意保険基準との差額 |
等級 |
弁護士基準 |
任意保険基準との差額 |
1級 |
2800 |
+1500 |
8級 |
830 |
+430 |
2級 |
2370 |
+1250 |
9級 |
690 |
+390 |
3級 |
1990 |
+1040 |
10級 |
550 |
+350 |
4級 |
1670 |
+870 |
11級 |
420 |
+270 |
5級 |
1400 |
+700 |
12級 |
290 |
+190 |
6級 |
1180 |
+580 |
13級 |
180 |
+120 |
7級 |
1000 |
+500 |
14級 |
110 |
+70 |
後遺障害慰謝料(万円) |
||
等級 |
弁護士基準 |
任意保険基準との差額 |
1級 |
2800 |
+1500 |
2級 |
2370 |
+1250 |
3級 |
1990 |
+1040 |
4級 |
1670 |
+870 |
5級 |
1400 |
+700 |
6級 |
1180 |
+580 |
7級 |
1000 |
+500 |
8級 |
830 |
+430 |
9級 |
690 |
+390 |
10級 |
550 |
+350 |
11級 |
420 |
+270 |
12級 |
290 |
+190 |
13級 |
180 |
+120 |
14級 |
110 |
+70 |
被害者に過失割合があっても慰謝料が減額されない方法がある!?
交通事故における重要な問題として、過失割合がある。追突事故では、加害者に100%の過失があることが多いが、それ以外の態様の事故では、被害者にもいくらかの過失があることがほとんどだね。
たとえば、12級の後遺障害を負った場合の後遺障害の慰謝料は、弁護士基準では290万円の計算となる。
しかし、被害者に30%の過失があると、被害者が任意保険会社からもらえる慰謝料は、203万円まで減額されてしまう。
被害者に過失がある以上、減額もやむを得ないところだが、被害者自身が人身傷害保険に加入していれば、自分の過失の部分の慰謝料を補償してもらえることがあるよ。
加害者に対する裁判で、過失相殺前の慰謝料として290万円が認められれば、任意保険会社から回収できない過失30%分の慰謝料(87万円)を、人身傷害保険金として受け取れる。
なお、被害者が任意保険会社との示談成立前であっても、いつでも人身傷害保険金だけ先に受け取れる点もメリットといえるだろう。
現在、自動車保険への人身傷害保険の付帯率は約90%にも上っているため、追突事故以外の交通事故被害にあった場合は、自分の保険に人身傷害特約がついていないかを確認してみるといいよ。
(まとめ表)
メリット | 被害者に過失割合があっても人身傷害保険金が減額されない |
支払い時期 | 後遺障害が確定すれば、示談成立前でも受給可能 |
保険金額 | 損害賠償額よりは低いが、賠償と合わせると過失割合分を補填できる |
加害者との示談成立前に人身傷害保険から後遺障害慰謝料を受給する場合の金額は、以下のとおりだ。弁護士基準の慰謝料額に足りない部分については、加害者や任意保険会社から払ってもらうことになるだろう。
後遺障害慰謝料(万円) |
|||
等級 |
人身傷害保険金 |
等級 |
人身傷害保険金 |
1級 |
1800(1600) |
8級 |
400 |
2級 |
1500(1200) |
9級 |
300 |
3級 |
1300(1000) |
10級 |
200 |
4級 |
900 |
11級 |
150 |
5級 |
700 |
12級 |
100 |
6級 |
600 |
13級 |
70 |
7級 |
500 |
14級 |
40 |
後遺障害を負った被害者の介護料の計算方法は!?
後遺障害が残って一生介護が必要になった被害者は、それだけ慰謝料も多くなるんですか?
交通事故で重度の後遺障害を負い、将来的に介護が必要になった場合、被害者には慰謝料のみならず、介護費用も発生する。
もちろん、家族に介護してもらえれば実費の支出は防げるが、家族に介護の負担がかかり、介護中は仕事もできなくなるので、実際には被害者に損害が発生しているといえる。
一般的には、被害者の親族による介護費用は、日額8000円、職業介護士の介護費用は日額2万円程度の計算になる。
介護期間は、後遺障害の症状固定時から、被害者の平均余命に至るまでの年数をとることが多い。
たとえば、40歳男性が要介護の後遺障害を負い、67歳まで家族に介護してもらい、それ以降は職業介護士による介護を受ける場合の将来介護費用を計算してみよう。
40歳男性の平均余命は41年であり、81歳まで生存する計算になる。家族による介護は67歳までの27年間、67歳~81歳までは職業介護士による介護を受けることになるね。
介護費用を計算する上で重要なポイントは、中間利息の控除という概念だ。
介護費用は41年間にわたり、1年ごとに発生するものだが、任意保険会社からは一度に全額の介護料を受け取ることになるので、現在価値に割り引く必要があるよ。
一度に受け取った介護料を年5%で運用するものとして現在価値に割り引くための係数としてライプニッツ係数が利用されている。
67歳までの27年間のライプニッツ係数は14.643、81歳までの41年間のライプニッツ係数は17.2944であるため、各介護費用は以下のとおり計算することができる。
(家族による介護費用)
8000円×365日×14.643=4275万7560円
(職業介護士による介護費用)
2万円×365日×(17.2944-14.643)=1935万5220円
介護費用は、損害賠償の中でも大きいものになりがちなので、しっかりと計算方法を理解して、適切な補償を受ける必要があるだろう。
実際の介護費用の計算はもっと複雑で、事案に応じて色々な問題点も発生するので、弁護士に依頼して保険会社と交渉してもらう必要性が高いだろう。
(まとめ表)
親族の介護費用 |
日額8000円程度 |
職業介護士の費用 |
日額2万円程度 |
介護期間 |
平均余命まで |
中間利息の控除 |
ライプニッツ係数による |
後遺障害の慰謝料.comの監修医師
藤井 宏真 医師
奈良県立医科大学附属病院 勤務
アトム法律事務所 顧問医
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