むちうちの後遺症による肩こり・頭痛も後遺障害に認定される?
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
むちうちの後遺症による肩こり・頭痛も後遺障害に認定される?
交通事故の強い衝撃で首がむちのようにしなって損傷することを「むちうち」といいます。外傷性頚部症候群、頸椎捻挫などとも呼ばれ、交通事故で負うことが多い怪我といえます。
交通事故で負う怪我のなかでは比較的、軽症とされるむちうちですが、後遺症が残ると痛みやしびれなどに悩まされつづけることになります。適正な慰謝料をはじめ、損害賠償を得るためのポイントを解説します。
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
むちうちの治療期間は軽いもので約3~5ヵ月、重度になると6ヵ月以上の期間を要します。まずはネックカラーで固定後、回復の程度に応じてリハビリをはじめます。
むちうちの症状|首の痛みだけじゃない?
むちうちは首の痛みだけではなく、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
むちうちの症状
▼よくある症状
頭痛
首の痛み
首が動かしにくい
頭の後ろから首~背中にかけての痛み・凝り
▼その他の症状
目のかすみ
耳鳴り
動悸
声のかすれ
吐き気
顔面の紅潮
全身倦怠感
手全体の痛み、しびれ、脱力
めまい
むちうちの症状は多岐にわたります。問診、触診、画像検査などを経てむちうちの診断が出されることになります。
むちうちは肩こり・頭痛などの後遺症が残る?
後遺症(後遺障害)
十分な治療をつづけても、これ以上の改善が望めなくなった状態で残る症状
交通事故では、障害の部位・程度に応じて14段階の後遺障害等級で区分される
むちうちによる後遺症は、後遺障害に認定される可能性があります。代表的な症状の例を紹介します。
むちうちによる主な後遺障害
▼首、肩、上肢から手指
重い・だるい
しびれ
痛い
▼その他
頭痛
肩こり
など主にこのような後遺障害の症状が残る可能性があります。
むちうちの後遺症で慰謝料増加につなげる方法
むちうちの後遺症が後遺障害に認定されると、事故の相手方への請求項目が2つ増えることになります。後遺障害の残存で請求可能になる金銭の一つ目は後遺障害慰謝料です。
後遺障害慰謝料
後遺障害が残ったことで受けた精神的ダメージに対する損害賠償
後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料の金額は異なります。
後遺障害が残ったことで請求可能になる金銭の二つ目は逸失利益です。
後遺障害の逸失利益
後遺障害が残ったことで労働能力が低下したり喪失したりして、将来的な収入が減ることへの補償
逸失利益を算出するにあたり基本的な計算方法を紹介します。
計算式
基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳-症状固定時の年齢)に対応するライプニッツ係数 |
計算式で用いられる「労働能力喪失率」は、障害の部位・程度、被害者の職業などを考慮して増減することになります。主婦などの場合における年収算定方法・ライプニッツ係数一覧などについて詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
<関連記事>交通事故における逸失利益の計算方法
逸失利益も後遺傷害慰謝料と同様に等級ごとに労働能力喪失率の目安があります。等級が1つでも異なれば差が出ることになるので、症状にふさわしい等級の認定が重要になります。適正な後遺障害等級の認定には、認定基準に照らした検査方法をおこなっている必要があります。
後遺障害等級認定にくわしい弁護士に相談して、認定の可能性を高めていきましょう。
後遺障害等級の申請方法|むちうちのケース
むちうちで後遺障害等級を申請してから等級が認定されるまでの流れを確認していきます。
①症状固定
これ以上の治療をつづけても、症状の改善が望めなくなった状態を症状固定と言います。後遺障害等級認定を受ける場合、原則として事故から約半年以上が経過している必要があります。半年よりも治療期間が短ければ後遺障害の認定がおりない可能性が高くなります。
②後遺障害診断書に関する資料の準備
症状固定になったら、後遺障害等級の認定に向けて後遺障害診断書などの医学的な資料を準備します。
後遺障害の申請は、2通りの種類があります。
後遺障害診断書のみを被害者が任意保険会社へ提出する事前認定
診断書とあわせて医学的な資料なども被害者が用意して自賠責保険へ提出する被害者請求
資料収集の手間がかかる被害者請求ですが、認定に有利な資料を提出できるのが強みです。弁護士への依頼で、資料収集の作業を一任することができます。お仕事などが忙しく、資料収集に不安がある方でも安心です。
③損害保険料率算出機構の審査
提出した資料をもとに損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査をおこないます。審査結果をふまえて自賠責保険会社が等級認定をおこないます。
さらに詳しい認定手順、後遺障害診断書の書き方などについては関連記事を確認してください。
<関連記事>後遺障害等級の申請
後遺障害等級が認定されることで等級に応じた慰謝料が算定されることになります。つづいては、むちうちで認定の可能性がある等級と慰謝料について詳しくみていきます。
むちうちの後遺症「等級」と「後遺障害慰謝料」
むちうちの後遺障害等級
むちうちで認定される可能性がある等級はつぎの通りです。
後遺障害等級
むちうちの後遺障害
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
むちうちではこのような等級が認定される可能性があります。
12級と14級の違いは、「頑固な神経症状」であるかどうかという点にあります。
障害の程度のみという意味ではなく、
神経学的な検査結果があるか
レントゲンやMRI画像などの医学的所見があるか
このような点が判断要素として大きくあつかわれます。
後遺障害の症状が医学的に証明可能な場合は12級、一応の説明が可能な場合は14級に該当するとされています。むちうちで後遺障害等級の認定を得るには、おおよそ6ヶ月以上の通院で症状の経過を明らかにし、適宜検査を受けることが重要になります。
むちうちの後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料の算定は、事故の相手方が用いる基準(自賠責基準・任意保険基準)と弁護士が交渉に介入することで用いる基準(弁護士基準)で金額が大きく異なります。
むちうちに対応する後遺障害慰謝料は以下の通りです。
後遺障害慰謝料
むちうちの後遺障害
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
12級13号 | 93 | 290 |
14級9号 | 32 | 110 |
単位:万円
自賠責基準と弁護士基準を比べると2倍以上の差が確認できます。むちうちの適正な慰謝料を得るには弁護士基準による算定が重要になります。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。