眼球破裂の後遺症|失明・視力低下・調節機能障害の後遺障害等級と慰謝料
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
眼球破裂の後遺症|失明・視力低下・調節機能障害の後遺障害等級と慰謝料
眼球破裂(がんきゅうはれつ)の後遺症である「失明・視力低下」と「調節機能障害」について、
後遺障害等級
後遺障害慰謝料
この2点をテーマに解説します。
眼球破裂の症状や、後遺障害等級認定のポイントが気になる方には以下の関連記事をお役立てください。
関連記事:眼球破裂の症状と後遺障害等級認定
奈良県立医科大学付属病院アトム法律事務所顧問医
藤井 宏真医師
眼球破裂とは、角膜や強膜が破れた状態をさします。極めて重篤な状態です。
眼球破裂|後遺症|失明・視力低下の後遺障害
眼球破裂|失明・視力低下|後遺障害等級は?
失明は「視力障害」ともいわれ、眼球破裂では多くの場合なんらかの視力障害が発生します。
後遺障害等級を分けるのは、
視力障害が両目か片目か
視力障害の程度
この2つとされています。
視力障害の状況は「万国式試視力表」を使って測定します。
まずは失明の後遺障害等級を確認しておきましょう。
失明
両目 | 等級 |
---|---|
両目の失明 | 第1級1号 |
片目 | 等級 |
他眼0.02以下 | 第2級1号 |
他眼0.06以下 | 第3級1号 |
他眼0.1以下 | 第5級1号 |
他眼0.6以下 | 第7級1号 |
1眼が失明* | 第8級1号 |
*もう片方の眼の視力は0.6を超える
失明で認定される後遺障害等級は1級1号、2級1号、3級1号、5級1号、7級1号、8級1号と幅は広めです。
失明とは
眼球を亡失(摘出)したもの
明暗の区別がつけられないもの
なんとか明暗の区別が分かる程度のもの
暗室にて眼前で証明を点滅させ明暗がわかること(光覚弁)
手掌を眼前で上下左右に動かし動きの方向がわかること(手動弁)
このように定義づけされています。
視力低下
視力低下も同様に、
片目か両目か
は後遺障害等級の分かれ目です。
そしてどの程度の視力に低下してしまったかも重要ポイントでしょう。
両目の視力低下 | 等級 |
---|---|
0.02以下 | 第2級2号 |
0.06以下 | 第4級1号 |
0.1以下 | 第6級1号 |
0.6以下 | 第9級1号 |
片目の視力低下 | 等級 |
0.02以下 | 第8級1号 |
0.06以下 | 第9級2号 |
0.1以下 | 第10級1号 |
0.6以下 | 第13級1号 |
眼球破裂|失明・視力低下|後遺障害慰謝料は?
後遺障害慰謝料について、等級ごとにまとめていますので確認していきましょう。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
第1級1号 | 1100万円 | 2800万円 |
第2級1号 | 958万円 | 2370万円 |
第2級2号 | 958万円 | 2370万円 |
第3級1号 | 829万円 | 1990万円 |
第4級1号 | 712万円 | 1670万円 |
第5級1号 | 599万円 | 1400万円 |
第6級1号 | 498万円 | 1180万円 |
第7級1号 | 409万円 | 1000万円 |
第8級1号 | 324万円 | 830万円 |
第9級1号 | 245万円 | 690万円 |
第9級2号 | 245万円 | 690万円 |
第10級1号 | 187万円 | 550万円 |
第13級1号 | 57万円 | 180万円 |
認定される可能性がある後遺障害等級にも、ずいぶんと差があることがわかります。
後遺障害等級は1級から14級まであり、その中でも最も重いのは「1級」となっています。
両目を失明してしまうと最も重い等級とされる1級認定の可能性があります。
同じ等級でも基準によって慰謝料の金額は大きく異なっています。表内にある「自賠責基準」と「弁護士基準」のちがいを解説します。
後遺障害慰謝料の3基準
慰謝料の算定には3つの基準があります。
(1)自賠責保険の基準(自賠責基準)
(2)任意保険の基準
(3)弁護士基準
相手方が提案してくる金額は(1)自賠責保険の基準または(2)任意保険の基準に基づいています。任意保険の基準というのは、加害者加入の「任意保険会社」の基準ということです。
一方、弁護士に依頼すると「弁護士基準」での算定が可能になります。弁護士基準は、裁判でも使われている公正な基準です。そして慰謝料の相場が最も高い基準です。
後遺障害慰謝料だけでなく、入通院慰謝料(傷害慰謝料)や休業損害も、弁護士基準での計算が最も相場が高くなります。詳細を知りたい方は以下の関連記事も参考にしてください。
<関連記事>入通院慰謝料や休業補償・休業損害について
眼球破裂|後遺症|調節機能障害の後遺障害
眼球破裂|調節機能障害|後遺障害等級は?
「調節機能」とは、「ピントを合わせる機能」のことです。人間の目は、自動的に見たいものにピントを合わせる調節機能が備わっています。調節機能が交通事故で失われてしまうと、後遺障害に認定される可能性があります。
等級 | 症状 |
---|---|
第11級1号 | 両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの |
第12級1号 | 1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの |
調節機能障害は11級1号か12級1号に認定される可能性があります。
記載されている症状のうち「著しい」とは何を指すのでしょうか。
著しい調節機能障害
「著しい」という言葉そのものは、程度がはなはだしいという意味を持ちます。つまり、調節機能に多大な障害がみられる状態をいいます。アコモドポリレコーダーという機械を使って検査します。
両目に調節機能障害
被害者の年齢の平均値と比べて1/2以下の値であれば著しい調節機能障害がみられると判断される。
片目に調節機能障害
正常なもう一方の眼と比較して1/2以下の値であれば著しい調節機能障害がみられると判断される。
下表は各年齢における目の調節機能の平均値です。
年齢 | 調整力(D) |
---|---|
15–19 | 9.7 |
20–24 | 9.0 |
25–29 | 7.6 |
30–34 | 6.3 |
35–39 | 5.3 |
40–44 | 4.4 |
45–49 | 3.1 |
50–54 | 2.2 |
55–59 | 1.5 |
60–64 | 1.35 |
65– | 1.3 |
補足
ちなみに、交通事故の被害者が事故当時55歳を超えている場合は注意が必要です。調節機能は、そもそも加齢と共に次第に失われていくものです。ですから、交通事故により両目の調節機能の値が低くても、55歳を超えている場合は加齢によるものとして後遺障害認定はされません。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。