顔の傷|後遺障害|線状痕・へこみ・変色などの後遺障害等級認定を解説
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
顔の傷|後遺障害|線状痕・へこみ・変色などの後遺障害等級認定を解説
交通事故の怪我が治っても、顔に傷が残ってしまうことがあります。
そして、その傷があることで
仕事を続けることが困難になる
就くことのできる職業が限定されてしまう
といった影響が十分考えられます。
この記事のメインテーマは
症状
後遺症
後遺障害認定の可能性
主にこの3つです。
顔の傷の後遺障害慰謝料など、より詳しい等級ごとの特徴を知りたい方は以下の関連記事を参考にしてください。
関連記事:顔の傷の後遺障害等級と慰謝料
顔の傷にはどんなものがある?
顔に残る傷あとには以下のようなものがあげられるでしょう。
例
へこみ
変色、色素沈着
傷あとが隆起した線状痕
手術によるメスの痕
交通事故の怪我の「傷あと」はもちろん、交通事故により顔面にメスを入れなくてはならず、その結果のこった「手術痕」も交通事故による顔の傷と考えます。
顔の傷は「後遺障害」に認定される?
交通事故の損害賠償では、「後遺障害の有無」が分かれ目です。それは、交通事故解決のフローからも分かります。
フロー
後遺障害とは
治療を継続しても、身体に何らかの症状が残ることがあります。この症状を「後遺症」とよびます。
後遺障害とは、後遺症のうち以下の<4つ>の要件を満たすものと考えてください。
後遺障害の4要件
(1)交通事故による怪我が原因であること
(2)医学的に適切な方法で治療を継続したが症状が残存すること
(3)将来的に回復困難と見込まれる肉体的・精神的な症状であること
(4)症状の存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うものとして一定の基準に該当すること
後遺障害等級は、後遺障害の残る身体の部位や怪我の程度に応じて一律で規定されています。4つの要件を満たし、かつ当てはまる等級があれば後遺障害認定となります。
後遺障害に認定されると、損害賠償として後遺障害慰謝料や逸失利益が請求可能です。損害賠償の請求項目が増えますので、後遺障害がない場合と比べて損害賠償金が増加します。
内訳
顔の傷は「労働能力」を失うのか?
顔の傷の後遺障害認定において重要なことは、労働能力が低下したのかということです。さきほど、後遺障害の4要件の中もあげたとおり、労働能力の喪失を伴っていることが後遺症と後遺障害のちがいのひとつです。
労働能力喪失が認められた事例
被害者の職業は「ホステス」であった。職業柄、要望は非常に重要であったため、交通事故により仕事が継続できなくなったと認められた。
痕が目立ちやすいこと、職業によっては減収をもたらす可能性があること、美容師見習いの仕事を続けられなくなったことなど総合判断が行われた。
労働能力喪失が認められなかった事例
家事労働に従事していたことより、傷がもとで労働能力喪失にはつながっていないと判断された。
傷がコンプレックスとなり、対人関係での消極性の原因であることは認めるが、労働能力喪失の直接的な影響を否定した。
手や足を失うような後遺障害とはちがい、顔の傷は労働能力喪失と結びつきづらいとされています。
しかし、ポイントは被害者の主張をどのように「周囲」に理解して、納得してもらえるかということです。
後遺障害認定は簡単ではありませんが、まずは弁護士に話を聞かせてもらえませんか?これまでの事例などを踏まえて、後遺障害認定の見込みなどをお伝えすることも可能です。
後遺障害認定の2つの方法
治療を継続していると
治癒・完治する
治療を続けても良くも悪くもならない
のいずれかの時期をむかえることになります。
「良くも悪くもならない時期」のことを症状固定といいます。
ポイント
症状固定日が交通事故から6ヶ月以上たっていることが、後遺障害認定のひとつの目安とされています。
後遺障害認定を受けるには後遺障害等級認定の申請が必要です。申請方法は2つあります。どの方法で申請するかは、被害者が自由に選択できます。
後遺障害認定申請方法
(1)事前認定
(2)被害者請求
申請方法の違いに注目しながら、それぞれの申請フローをみていきます。
(1)事前認定
事前認定のフロー
「症状固定」の診断を受けたら、医師に「後遺障害診断書」と「交通事故後の傷痕等に関する所見」の作成を依頼しましょう。作成してもらった書類は、加害者側の任意保険会社に提出します。通常、後遺障害認定は書面のみで行われますが、顔の傷については面談も行われる可能性があります。
もう一つの申請方法である「被害者請求」と比較すると、被害者自身の負担や手間は大幅に少ない申請方法でしょう。しかし、最終的にどのような書類で申請をしたか把握することはできません。もしも想定していた等級認定がかなわなかったり、後遺障害「非該当」との判断を受けた場合、納得感は得にくいかもしれません。
(2)被害者請求
被害者請求のフロー
「症状固定」の診断を受けたら、医師に「後遺障害診断書」と「交通事故後の傷痕等に関する所見」の作成を依頼しましょう。次に、そのほかに提出する資料を準備します。提出物は、被害者自身で自由に決定できます。
顔の傷の場合は、
交通事故後から現在に至るまでの顔の傷に関する経過が分かる写真
顔の傷がどのように仕事に影響するかなどの意見書
などは有効でしょう。用意ができたら、加害者側の自賠責保険会社に提出して、後遺障害等級認定通知を待ちましょう。
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
請求者 | 相手方の保険会社 | 被害者自身 |
等級認定
損害保険料率算出機構が後遺障害等級の審査を行い、等級に応じて後遺障害慰謝料が算定されます。
被害者自身の手間はかかりますが、「被害者請求」で申請をすることで、後遺障害認定を受けるための工夫を行うことが望ましいです。
顔の傷は後遺障害〇級該当の可能性
以下の傷については、「顔面の醜状」として後遺障害認定される可能性があります。
ポイントは人目につくこと、傷あとの大きさや傷あとの長さです。
▼瘢痕(はんこん)
鶏卵大以上
▼組織陥没
10円硬貨以上の組織陥没
10円硬貨大以上の組織陥没
▼線状痕
3センチメートル以上線状痕
5センチメートル以上の線状痕
瘢痕(はんこん)というのは、できものや傷などが治った後に「皮膚に残ったあと」のことです。
変色(黒褐色・白斑)や色素沈着も含まれます。
より詳細な後遺障害等級ごとの内容や慰謝料金額について関心のある方は、下記のページも参考にしてください。
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この記事のまとめ
顔の傷の後遺障害等級認定の申請は「被害者請求」がおすすめ
顔の傷の「線状痕」「へこみ」「変色」は後遺障害等級認定される可能性がある
顔の傷については、労働能力喪失をいかに証明するかがポイントです。そのためには、ノウハウを多く持っている交通事故解決実績の豊富な弁護士への相談・依頼を推奨します。
ここからは「弁護士無料相談」のご案内です。
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顔の傷、後遺障害認定を目指しましょう
顔の傷は「労働能力喪失」との関連が難しいというお話をしてきました。それは事実なのですが、被害者の方からすると不本意なことでしょう。実際、お仕事で不都合があったり、辛い思いをされているのは被害者の方なのです。まずはじっくりお話を聞かせてください。そして、どのように主張していけば後遺障害として認められるのか、一緒に考えましょう。
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。