【肩鎖関節脱臼】後遺障害|症状と後遺障害等級認定を弁護士がわかりやすく解説
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
【肩鎖関節脱臼】後遺障害|症状と後遺障害等級認定を弁護士がわかりやすく解説
肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)は、肩を強く打ちつけることでじん帯・筋肉がいたみ、肩鎖関節がずれてしまうことをいいます。
この記事は
症状
後遺症
後遺障害認定の可能性
主にこの3つをメインテーマにしています。
肩鎖関節脱臼の後遺障害等級の詳細、後遺障害慰謝料の金額を知りたい方は以下の関連記事を参考にしてください。
関連記事:肩鎖関節脱臼の後遺障害等級と慰謝料
肩鎖関節脱臼とは?どんな症状がある?
関節が外れることで、骨の位置から関節がずれた状態を脱臼といいます。
肩鎖関節脱臼の主な症状には次のものがあげられます。
鎖骨を押す又は肩を動かすと、肩に痛みを感じる
腕が上がらない
肩が腫れている
鎖骨がぼこっと盛り上がっているようにみえる
肩鎖関節脱臼は6つに分類されます。
損傷個所
ズレの程度
この2つが分類の基準です。
一般社団法人 日本骨折治療学会が示している分類をまとめました。
分類 | 概要 |
---|---|
捻挫 | 肩鎖靱帯の部分的な損傷。 烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は正常で、X線に異常なし。 |
亜脱臼 | 肩鎖靱帯が断裂し、烏口鎖骨靱帯が部分的に損傷。三角筋・僧帽筋は正常。 関節の隙間が拡大して、鎖骨の端がやや上にずれていることがX線で確認できる。 |
脱臼 | 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯いずれも断裂。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれていることが多い。 X線では鎖骨の端が完全に上にずれていることが確認できる。 |
後方脱臼 | 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯いずれも断裂。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれている。 鎖骨の端が後方にずれている脱臼。 |
高度脱臼 | 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯いずれも断裂。 三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全にはずれている。 |
下方脱臼 | 鎖骨の端が下にずれており、脱臼のタイプとしては珍しい。 |
参考:一般社団法人 日本骨折治療学会(https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip16.html)
まず病院では骨や関節のずれ方、骨折の有無などをレントゲン(X線)で確認していくことになるでしょう。
肩鎖関節脱臼は「後遺障害」に認定される?
「後遺障害」の有無は、交通事故の損害賠償で重要なポイントになります。それは、交通事故解決のフローからも分かります。
フロー
後遺障害とは
治療を継続しても、身体に症状が残ってしまうことがあります。この症状を「後遺症」といいます。
後遺症のなかでも、次の4つの要件を満たすものを「後遺障害」といいます。
後遺障害の4要件
① 交通事故での怪我が原因であること
② 医学的に適切な方法で治療を続けたが症状が残存していること
③ 将来的に回復困難という見込みの肉体的・精神的な症状であること
④ 症状の存在が医学的に認められ、労働能力喪失を伴うものとして一定の基準に該当すること
後遺障害等級は1~14級まであり、後遺症の残る身体の部位や症状に応じて等級が規定されています。
4つの要件を満たし、かつ当てはまる等級があれば後遺障害認定となります。
後遺障害に認定されると、
後遺障害慰謝料
逸失利益
が損害賠償として請求できます。
後遺障害がない場合と比べて請求項目が増えますので、自然と損害賠償金(示談金)が増加します。
内訳
肩鎖関節脱臼の後遺症
肩鎖関節脱臼の後遺症には次のような症状があげられます。
肩鎖関節脱臼の後遺症
可動域が限られる(動かせる範囲が限定される)
変形が残る
痛みが残る
このような症状が残っている場合、後遺障害等級の認定がなされる可能性があります。
後遺障害認定の2つの方法
治療を継続していると
治癒・完治する
治療を続けても良くも悪くもならない
のどちらかをむかえることになるでしょう。
「良くも悪くもならない」時期のことを症状固定といいます。
ポイント
交通事故から6ヶ月以上経過して症状固定をむかえることが、後遺障害認定のひとつの目安となります。
後遺障害認定を受けるためには後遺障害等級認定の申請をしましょう。申請方法は2つあるので、好きな申請方法を選べます。
それぞれの方法にはメリットもデメリットもあります。もし、自分の場合はどちらがいいかな?と迷った時は、気軽に相談してください。お話をお伺いして、一緒に考えていきましょう。
後遺障害認定申請方法
(1)事前認定
(2)被害者請求
事前認定、被害者請求、それぞれの申請フローをみていきます。
(1)事前認定
事前認定のフロー
「症状固定」の診断後、医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。作成してもらったら、加害者側の任意保険会社に提出します。あとは、後遺障害等級の認定結果通知を待つのみとなります。
もう一つの申請方法・「被害者請求」と比較すると、被害者自身の負担が少ないというメリットがあります。しかし、最終的にどのような書類で認定申請したかは把握できません。仮に、想定していた等級認定がされなかったり、後遺障害「非該当」とされた場合、満足感は感じづらいかもしれません。
(2)被害者請求
被害者請求のフロー
「症状固定」の診断後、まず医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼してください。次に、そのほかに提出する資料の準備をすすめます。どんな資料で被害者請求をするかは、被害者自身で自由に決定できます。
後遺障害認定のポイントは医学的に症状を説明・証明できるかということです。被害者請求では提出資料に工夫ができる点で、事前認定より優れています。
POINT
「腕が上がらない」という後遺症が残ったとして、「腕が上がりません」と記載しただけの書類では、おそらく後遺障害認定は難しいでしょう。具体的に身体の状況を記載すべきです
望ましい書き方
腕が上がりません
→どの程度まで上がり、どの程度より上がらないのか
仕事ができません
→仕事への影響はどのように出ているのか
後遺障害等級は、損害保険料率算出機構が審査を行います。そして等級に応じて後遺障害慰謝料が算定されます。審査は書面のみで行われますので、書面をみただけで被害者の身体に残る後遺症の程度を読み取ってもらわなくてはいけません。
被害者自身の手間はかかりますが、後遺障害認定を受けるための工夫ができる「被害者請求」をおすすめします。
弁護士に依頼すれば提出資料の検討や資料収集などのサポートが可能です。
ぜひ、弁護士に依頼&被害者請求での後遺障害認定申請をご検討ください。
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
メリット | 資料収集の手間がない | 自分で資料を確認できる |
デメリット | 自分で資料を確認できない | 資料収集の手間がかかる |
請求者 | 相手方の保険会社 | 被害者自身 |
肩鎖関節脱臼は後遺障害〇級該当の可能性
「肩鎖関節脱臼」は後遺障害認定される可能性があります。
認定の可能性がある等級
腕があげられない → 8級・10級・12級
痛み・しびれ → 12級・14級
変形 → 12級
より詳細な後遺障害等級ごとの内容や慰謝料金額について関心のある方は、下記のページも参考にしてください。
弁護士依頼と被害者請求の組み合わせが重要です
この記事のまとめ
後遺障害等級認定の申請は「被害者請求」がおすすめ
腕の上げづらさ・痛みやしびれ・変形は後遺障害等級認定される可能性がある
肩鎖関節脱臼についても、後遺障害認定がなされる可能性があることをお伝えしてきました。次にご案内したいのは「弁護士のサポート」です。
ここからは「弁護士無料相談」のご案内です。
【無料】電話相談予約窓口/弁護士とLINEトーク
アトム法律事務所の無料相談の予約受付の窓口は
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ひとことメッセージ
後遺障害として認定されることが、賠償金の増額のポイントであるとお伝えしてきました。後遺障害認定を受けるためには、「被害者請求」で申請すべきです。しかし、忙しかったり、なかなか時間が作れないという場合には、資料を集めたりすることが負担になります。このような事情で、「被害者請求」での申請をためらっている人もいるのではないでしょうか。
もし弁護士に依頼すれば、資料収集などを弁護士に任せることも可能です。「手間がかかる」という理由だけで被害者請求を断念するのはもったいないです。
弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。