鎖骨骨折の後遺症|後遺障害等級と後遺障害慰謝料を症状別に解説
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
鎖骨骨折の後遺症|後遺障害等級と後遺障害慰謝料を症状別に解説
交通事故で鎖骨を骨折し後遺症が残ると、それに対する慰謝料はどれくらい請求できるのか?ということが気になるかと思います。
そこでこの記事では、鎖骨骨折による後遺症が該当する後遺障害等級とその慰謝料金額を、症状別にご紹介しています。
鎖骨骨折による「可動域制限」の後遺障害等級と慰謝料
鎖骨骨折では、肩関節の可動域制限が後遺症として残る場合があります。
可動域制限とは
関節などの動く範囲が、受傷前に比べて狭くなること。
鎖骨骨折では、肩関節に可動域制限が生じることがある。
肩関節の可動域制限が該当する後遺障害等級と慰謝料は、以下の通りです。
等級 慰謝料 |
内容 |
---|---|
8級 830万円 |
可動域を失った |
10級 550万円 |
可動域が1/2以下になった |
12級 290万円 |
肩関節可動域が3/4以下になった |
慰謝料は、示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額
なお、肩関節の可動域の測り方は、以下のようになります。この可動域は本人が自力で動かせる範囲ではなく、医師など他人が動かして動く範囲になります。
屈曲 | 手首と肘を伸ばし、気を付けの状態から体の前を通り天井へ向かって腕を上げる |
---|---|
伸展 | 手首と肘を伸ばし、気を付けの状態から体の後ろに腕を上げる |
外転・内転 | 手首と肘を伸ばし、気を付けの状態から体の横を通って天井まで腕を上げる(外転)。 同じようにしてもう一方の腕がある方向に腕を動かす(内転)。 |
外旋・内旋 | 上腕を体に付け、体の前に地面と水平になるよう前腕を伸ばす。 そこから左右に腕を動かす。 |
「鎖骨の変形・偽関節」の後遺障害等級と慰謝料
鎖骨骨折では、鎖骨の変形や偽関節が残る場合があります。
鎖骨の変形・偽関節とは
骨がずれて癒合したり、癒合不全を起こしたりすることで、骨が変形したり、関節ではない部分が関節のようになる偽関節が生じたりする。
鎖骨骨折の場合、鎖骨の肩側1/3を骨折した場合や鎖骨の真ん中1/3で2cmを超えるずれがあった場合に、こうした後遺症が残りやすい。
鎖骨の変形・偽関節が該当する後遺障害等級は以下のようになります。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
12級 290万円 |
鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの |
慰謝料は、示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額
なお、ここでいう変形とは、裸眼でも確認できる程度の変形となっています。
鎖骨骨折による「しびれ・痛み」の後遺障害等級・慰謝料
鎖骨骨折では、骨折自体は治っても、痺れや痛みが残る場合があります。
しびれ・痛みとは
鎖骨の近くには、腕神経叢という神経の集まりが骨折により損傷すると、手にしびれや痛みが残る場合がある。
鎖骨骨折によるしびれや痛みが該当する後遺障害等級と慰謝料は、以下の通りです。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
12級 290万円 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級 110万円 |
局部に神経症状を残すもの |
「頑固な神経症状」と「神経症状」は、神経学的な検査結果があるか、レントゲン・MRI画像などの所見があるかによって区別されます。
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、医学的な証拠は不十分であるが症状があると推定することはできるという場合は14級9号に該当します。
後遺障害逸失利益の計算はこちら
交通事故の後遺症に後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料の他に、後遺障害逸失利益も請求できます。
これは、後遺症によって得られなくなった将来の収入に対する補償です。
計算方法が複雑ですので、この金額については以下の慰謝料計算機をご利用ください。該当する等級と年収等を入力していただくと、簡単に金額を確認できます。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。