【交通事故で人工骨頭に】後遺障害慰謝料と慰謝料請求の流れを解説
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
【交通事故で人工骨頭に】後遺障害慰謝料と慰謝料請求の流れを解説
交通事故でけがをすると、骨の先端であり関節を構成している骨頭が壊死したり損傷したりして、人工骨頭に取り換えることがあります。
そこでこの記事では、
人工骨頭に取り換えることでどのような後遺障害が生じるのか
それによってどれくらいの慰謝料を請求することができるのか
後遺障害等級認定の申請の流れはどのようなものか
について解説しています。
人工骨頭とは?人工骨頭による後遺障害は?
人工骨頭とは?人工骨頭になる原因は?
人工骨頭とは
金属やセラミックでできた人工的な骨頭のこと。
骨頭とは、骨の先端であり関節を構成している部分のことです。
例えば大腿骨であれば、下の図のように股関節を構成している先端の部分が骨頭に当たります。
交通事故で骨折をすると、骨折部分に栄養や血流が届かなくなり、骨が壊死してしまう場合があります。また、骨がずれて癒合するなどして変形し、元のように関節がスムーズに動かなくなったり痛みを感じるようになったりします。
そうした場合に、骨頭を切除し人工骨頭に取り換えることになります。
人工骨頭の手術&手術費用
人工骨頭への置換を行う手術は、以下のように行われます。
手術内容
① 骨頭を切除する
② 骨頭を切除した骨の髄腔(中心部)に穴をあけ、ステム(棒状のもの)を差し込む
③ ステムの先端に人工骨頭を装着する
大抵の場合は1~2時間程度で終わる
手術後は、数日間リハビリ等を行ってから退院となります。
例えば股関節に人工骨頭を置換した場合、手術後4~5日間車いすを使ったり歩行練習をしたりしたのち、3週間~1ヵ月程度で退院することが多いようです。
人工骨頭の置換による後遺障害の症状は?
人工骨頭への置換を行うと、元々の骨頭は切除されてしまいますので、再建は難しくなります。そのため、人工骨頭への置換はそれ自体が後遺障害として扱われます。
また、人工骨頭への置換後も関節が動く範囲に制限が生じたり(可動域制限)、痛みやしびれが残る場合があります。
人工骨頭に対する慰謝料請求の流れ
人工骨頭で請求できる後遺障害慰謝料と逸失利益
交通事故によって後遺障害が残ると、その症状や程度に応じて1~14級の後遺障害等級が認定されます。そして、その等級に応じた後遺傷害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できるようになります。
後遺障害慰謝料
後遺障害により今後も受け続ける精神的苦痛に対する損害賠償
後遺障害の逸失利益
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償。
(異動・退職を余儀なくされた、出世が難しくなったなど)
人工骨頭の置換による後遺障害の場合は、6級、8級、10級、12級、14級のいずれかの等級が該当します。
それぞれの等級に応じた後遺傷害慰謝料は、以下のようになっています。
等級 | 慰謝料 |
---|---|
6級 | 1180万円 |
8級 | 1180万円 |
10級 | 550万円 |
12級 | 290万円 |
14級 | 110万円 |
慰謝料は、示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額
後遺障害逸失利益は、計算が複雑ですので、以下の計算機を利用されることをお勧めします。等級と年収等をご記入いただくと確認できます。
後遺障害等級の申請方法|人工骨頭の場合
後遺障害等級の認定を受けるためには、損害保険料率算出機構の審査を受ける必要があります。
審査の申請をする際は、加害者側の保険会社が被害者と損害保険料率算出機構の仲介役となります。具体的な流れは以下の通りです。
① 症状固定の診断を受ける
②後遺障害等級認定の申請に必要な資料を集める
③集めた資料を加害者側保険会社に提出
④ 保険会社から損害保険料率算出機構に資料が渡る
⑤ 損害保険料率算出機構で審査が行われる
⑥ 結果が通知される
症状固定とは、これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めない状態のことです。後遺障害等級認定を受ける場合、治療開始から症状固定までの期間は6ヶ月以上であることが望ましいです。
また、後遺障害等級認定の申請には「事前認定」」と「被害者請求」という2つの方法があります。どちらも大まかな流れは上記の通りですが、②で集める資料の種類と③の提出先保険会社については異なりますので確認していきましょう。
事前認定の場合
事前認定とは、加害者側の任意保険会社を通して後遺障害等級認定の申請を行う方法です。
この場合、被害者自身で集める資料とその提出先は以下のようになります。
集める資料 | 後遺障害診断書のみ |
---|---|
提出先 | 加害者側任意保険会社 |
後遺障害等級認定の申請には、後遺障害診断書の他にも必要な資料があります。しかしそれらは、加害者側任意保険会社が集めてくれます。
そのため、手間のかからない申請方法ということができますが、審査に有利になる資料を追加することは難しいという点に注意が必要です。
被害者請求の場合
被害者請求とは、加害者側の自賠責保険会社を通して後遺障害等級認定の申請を行う方法です。
この場合、被害者自身で集める資料とその提出先は以下のようになります。
集める資料 | ・後遺障害診断書
・医師による診断書 ・診療報酬明細書 ・交通事故証明書 ・後遺障害の存在や症状を裏付ける資料 |
---|---|
提出先 | 加害者側自賠責保険会社 |
被害者請求の場合は、後遺障害等級認定の申請で必要な資料は全て被害者自身で集めることになります。
その分手間はかかりますが、審査に有利になる資料を追加することができます。後遺障害等級認定の審査は、基本的に提出した資料のみを見て行われますので、これは重要です。
また、資料集めを弁護士に依頼することで、手間を省き追加資料も添付できるという、事前認定と被害者請求の良いところを合わせることも可能です。
後遺障害等級認定|申請のポイント
事前認定では手間を省くことができる
被害者請求では審査に有利になる資料を添付できる
後遺障害等級の審査は基本的に資料のみを見て行われる
弁護士に依頼すると、被害者請求でも手間を省くことができる
示談交渉のポイント
後遺障害等級認定の結果が出てその他の損害も確定すると、加害者側との示談交渉が始まります。
示談交渉は基本的に、加害者の代理人である加害者側任意保険会社と行うことになります。この際に注意すべきポイントは以下の2点です。
加害者側から提示される示談金額は低額
加害者側任意保険会社は示談交渉のプロ
この記事でも人工骨頭に対する後遺障害慰謝料の金額をご紹介しましたが、それはあくまでも被害者側の弁護士が提示する金額です。加害者側はもっと低額な慰謝料を提示してきます。
そのため示談交渉では、加害者側が提示した金額よりも高い金額で合意を得る必要がありますが、加害者側任意保険会社は交渉のプロですから、容易ではありません。
また、提示された慰謝料の根拠に関する説明が不親切だったり、本当は低額な金額であっても妥当な金額である可能用に説明されたりして、まだ十分に増額の余地があるにもかかわらず合意してしまうケースもあります。
本当に妥当な金額はいくらなのかを見極め、対等に加害者側と交渉するためにも、示談交渉は弁護士に依頼することをお勧めします。
人工骨頭の慰謝料請求は弁護士に相談を
後遺障害等級認定の申請のサポートを受けたい
示談交渉が不安
という場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。
アトム法律事務所では、来所相談の他、電話やLINEといった無来所相談も無料で行っております。
後遺障害等級に認定されるだろうか?加害者側の提示額に増額の余地はあるだろうか?といったご相談も受けております。まずはお気軽にご連絡ください。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。