大腿骨骨折の後遺症|後遺障害等級と慰謝料を症状別に解説
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
大腿骨骨折の後遺症|後遺障害等級と慰謝料を症状別に解説
本記事のポイント
大腿骨骨折では、人工骨頭への置換、関節可動域制限、下肢短縮・大腿骨変形、痛みやしびれ、傷痕といった後遺症が残る場合がある
各後遺症が該当する後遺障害等級と後遺障害慰謝料の金額をご紹介
交通事故で後遺症が残ると、自分の後遺症はどの後遺障害等級に該当し、後遺障害慰謝料はどれくらいになるのか?ということが気になると思います。
そこでこの記事では、大腿骨骨折による後遺症について、その症状別に等級と慰謝料を解説しています。
人工骨頭への置換による後遺障害等級と慰謝料
人工骨頭への置換とは
大腿骨骨折で股関節を構成する骨頭などが損傷し、股関節の動きに支障が生じた場合に、損傷部分を切除して代わりに金属やセラミックなどでできた人工骨頭を入れること
人工骨頭への置換を行うと、以下のような後遺障害等級・慰謝料が該当します。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
8級7号 830万円 |
一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの (人工骨頭に置換後、健常側の足と比較して関節の可動域が50%以下になったもの) |
10級11号 550万円 |
一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの (人工骨頭に置換したもの) |
*後遺障害慰謝料の金額は、示談交渉時に被害者側弁護士が提示するもの
大腿骨骨折による関節可動域制限の後遺障害等級と慰謝料
可動域制限とは
関節の動く範囲が受傷前よりも狭くなること。
大腿骨骨折の場合は、股関節・膝に可動域制限が生じることがある。
股関節や膝関節の可動域制限が該当する後遺障害等級とその慰謝料は、以下のようになります。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
6級7号 1180万円 |
膝と股関節について、健常側の足と比較してそれぞれ関節の可動域が10%以下になったもの |
8級7号 830万円 |
膝または股関節について、健常側の足と比較して関節の可動域が10%以下になったもの |
10級11号 550万円 |
膝または股関節について、健常側の足と比較して関節の可動域が50%以下になったもの |
12級7号 290万円 |
膝または股関節について、健常側の足と比較して関節の可動域が75%以下になったもの |
*後遺障害慰謝料の金額は、示談交渉時に被害者側弁護士が提示するもの
では、股関節や膝関節の可動域の測り方をご紹介します。
股関節
① 足を前後にいくら動かせるか
② 仰向けの状態で足をどれだけ回せるか
③ 膝を曲げて床に平行になるよう足を上げ、その状態でひざ下をどれだけ左右に動かせるか
膝関節
うつぶせになって膝をどれだけ曲げられるか
なお、この可動域は、本人が自力でどれだけ動かせるかということではなく、医師などが手で動かしてどこまで動くかという点で判断します。
大腿骨骨折による下肢短縮・大腿骨の変形の後遺障害等級と慰謝料
下肢の短縮・大腿骨の変形とは
骨が元の通りには癒合せず、足が短くなったり足の骨が変形したりすること
下肢の短縮、大腿骨の変形が該当する後遺障害等級と慰謝料は、以下のようになります。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
8級5号 830万円 |
一下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
10級8号 550万円 |
一下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
12級8号 290万円 |
長管骨に変形を残すもの |
13級8号 180万円 |
一下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
*後遺障害慰謝料の金額は、示談交渉時に被害者側弁護士が提示するもの
大腿骨骨折による痛みやしびれの後遺障害等級と慰謝料
痛みやしびれとは
大腿骨骨折により周辺の神経や筋肉が損傷し、骨折が治っても痛みやしびれが残ること。
痛みやしびれが該当する後遺障害と級と慰謝料は以下の通りです。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
12級13号 290万円 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 110万円 |
局部に神経症状を残すもの |
*後遺障害慰謝料の金額は、示談交渉時に被害者側弁護士が提示するもの
「頑固な神経症状」と「神経症状」は、神経学的な検査結果があるか、レントゲン・MRI画像などの所見があるかによって区別されます。
痛みやしびれ症状が医学的に証明可能な場合は12級13号、医学的な証拠は不十分であるものの、症状があることが推測できる場合は14級9号に該当します。
大腿骨骨折による傷痕の後遺障害等級と慰謝料
傷痕とは
大腿骨骨折の中でも、折れた骨が皮膚を突き破る開放骨折の場合は、その傷痕が残る可能性がある
大腿骨骨折で傷跡が残った場合の後遺障害等級と慰謝料は、以下の通りです。
等級 慰謝料 |
症状 |
---|---|
14級5号 110万円 |
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
*後遺障害慰謝料の金額は、示談交渉時に被害者側弁護士が提示するもの
大腿骨骨折による足切断の後遺障害等級と慰謝料
足の切断とは
骨折により骨に十分に血液や栄養が流れなくなり骨が壊死した場合や、傷口が感染症にかかってしまった場合などには、足を切断する場合がある。
大腿骨折で足を切断することは稀。
足の切断が該当する後遺障害等級と慰謝料は、以下の通りです。
等級 等級 |
内容 |
---|---|
4級5号 1670万円 |
一下肢をひざ関節以上で失つたもの |
*後遺障害慰謝料の金額は、示談交渉時に被害者側弁護士が提示するもの
大腿骨骨折の後遺症に関するお悩みは弁護士にご相談ください
大腿骨骨折による後遺症が該当する後遺障害等級と慰謝料をご紹介してきました。
しかし注意していただきたいのは、①後遺障害等級は必ずしも認定されるわけではないことと、②示談交渉で加害者側が提示してくるのはもっと低い金額であるということです。
後遺障害等級が認定されるためには審査を通過しなくてはなりませんし、十分な慰謝料を得るためには加害者側から提示された金額よりも高い金額で合意を取り付ける必要があります。これらについて弁護士にご相談いただくと、専門的な知識と経験をもとにサポートをさせていただきます。
アトム法律事務所では、
加害者側から提示された金額は妥当なのか
どれくらい増額の余地があるのか
後遺障害等級が認定される可能性はあるか
など、正式なご依頼だけではなく、相談のみの受付もしております。
LINEや電話での無料相談も可能ですので、お気軽にご連絡ください。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。