外傷性股関節脱臼の後遺症|症状や後遺症、慰謝料請求の流れを解説
作成:アトム弁護士法人(代表弁護士 岡野武志)
外傷性股関節脱臼の後遺症|症状や後遺症、慰謝料請求の流れを解説
本記事のポイント
外傷性股関節脱臼では、「股関節の可動域制限」「人工骨頭への置換」「骨盤の変形」「片足の短縮」「痛み・しびれ」といった後遺症が残る可能性がある
後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できるようになる
交通事故で後遺症が残ると、どれくらいの慰謝料を請求できるのかが気になると思います。
そこで、この記事では、外傷性股関節脱臼に焦点を当て、残る可能性のある後遺症とその慰謝料、慰謝料請求の流れについて解説しています。
外傷性股関節脱臼とは|症状と後遺症を解説
外傷性股関節脱臼の症状
外傷性股関節脱臼は、外部からの衝撃によって股関節を脱臼することです。主な症状としては、以下のものがあります。
脱臼部位の痛み、腫れ
上記の痛みにより、足を動かすことが出来ない
(大腿骨が後ろに押し出されている場合)足が内側に異常に曲がる状態になる、太腿部分が短くなる
足首などの痛み、しびれ
股関節脱臼は、そのままにしておくと骨が壊死してしまう可能性があります。そのため、脱臼後は24時間以内に、できるだけ早く骨をもとの位置に戻す必要があります。
外傷性股関節脱臼の後遺症|痛みやしびれは後遺障害にあたる?
外傷性股関節脱臼では、後遺症が残る可能性があります。具体的な症状としては、以下のものがあります。
外傷性股関節脱臼の後遺症
股関節の可動域制限
股関節への人工骨頭・人工関節の置換
骨盤の変形
片足の短縮
痛み・しびれ
外傷性股関節脱臼の後遺症|慰謝料請求の流れ
外傷性股関節脱臼の後遺症で請求できる慰謝料は?
上でご紹介した後遺症に対して後遺障害等級が認定されると、後遺傷害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できるようになります。
後遺障害慰謝料
後遺障害を負ってしまったという精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
後遺障害の逸失利益
後遺障害が残ったことで労働能力が失われ収入が減ることへの補償
外傷性股関節脱臼による後遺症が該当する後遺障害等級と慰謝料は、以下の通りです。
等級 | 慰謝料* |
---|---|
8級 | 830万円 |
10級 | 550万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
→症状別の後遺障害等級についてはこちら
後遺障害逸失利益は、下の慰謝料計算機に等級と年収等を入力していただくと、簡単に知ることができます。
後遺障害等級の申請方法|外傷性股関節脱臼の場合
後遺障害慰謝料、逸失利益を請求するためには、後遺障害等級に認定されなければなりません。その後遺障害等級認定の申請方法についてご説明します。
①症状が固定される
治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態を症状固定と言います。後遺障害等級認定の申請ができるようになるのは、症状固定の診断を受けてからになります。
なお、治療開始から症状固定までの期間は約6カ月以上である必要があります。これ以上期間が短い場合は、後遺障害としては認められない可能性が高くなります。
なお、目安で言うと、むちうちの治療期間の平均が6ヶ月と言われています。
②後遺障害診断書など書類の用意
症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定の申請に必要な資料を集めます。後遺障害等級認定の審査は、基本的に申請者から提出された資料のみを見て行われますので、これは非常に重要です。
なお、後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」「被害者請求」の2種類があり、どちらを選ぶかによって集める資料と提出先が変わります。申請方法ごとに確認していきましょう。
事前認定の特徴
集める資料:後遺障害診断書
提出先:加害者側の任意保険会社
特徴:後遺障害診断書以外の必要資料は保険会社が集めてくれる。保険会社主体となるので、審査に有利になる資料の追加などは難しい
被害者請求の特徴
集める資料:必要資料一式
提出先:加害者側の自賠責保険会社
特徴:被害者主体の申請となるので、必要資料の他、審査に有利になる資料を追加することができる
被害者請求で集める資料
後遺障害診断書、医師による診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書、後遺障害の存在や症状を裏付ける資料
③損害保険料率算出機構による審査
申請方法に合わせた保険会社に資料を提出すると、その資料が審査期間である損害保険料率算出機構に渡ります。
そして提出した資料を基に審査が行われます。結果が出るまでの期間は平均30日と言われていますが、場合によっては数ヶ月~数年かかることもあります。
示談交渉のポイント
後遺障害等級認定の結果が出て、その他の損害も確定したら、加害者側との示談交渉が始まります。そこで慰謝料などの金額を決めていくのですが、①加害者側から提示される金額は低額、②交渉相手は加害者側の任意保険会社であるという点に注意が必要です。
加害者側から提示される金額は、この記事でご紹介した、被害者側の弁護士が提示する金額よりも低額です。そのため、十分な金額を得るためには提示された金額よりも高い金額で合意する必要があるのですが、任意保険会社は交渉のプロですので、十分に増額させることは簡単ではありません。
後遺障害等級認定、慰謝料請求は弁護士に相談
後遺障害等級認定の申請や示談交渉は、弁護士にご相談ください。
ご相談いただくことで、専門的な経験や知識をもとにしたサポート、様々な手続きや示談交渉の代行を致します。
アトム法律事務所では、LINEや電話での無料相談を行っております。後遺障害等級が認定される可能性はあるか、加害者側から提示された金額は妥当か、どれくらい増額できる可能性があるか、といったご相談も受け付けております。
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弁護士プロフィール
岡野武志弁護士
(第二東京弁護士会)
全国12事務所体制で交通事故被害者の救済に取り組んでいる当事務所の代表弁護士。2008年の創業以来、幅広い間口で電話・LINE・メール相談などに無料で対応し、2024年現在は交通事故被害者の救済を中心に精力的に活動している。フットワークの軽い行動力とタフな精神力が強み。